PV・MUレビュー 転換期の欧州生地素材展(2)/まだまだ続くエコ・サステの深掘り
2020年02月26日 (水曜日)
今回のミラノ・ウニカ(MU)、プルミエール・ヴィジョン(PV)パリとも、エコ・サステイナブル(持続可能な)を絡めた提案の深掘りが目立った。開口一番「エコ・サステ対応品はどれか」と尋ねるバイヤーが多かった昨年に対し、その声はもうなく「当然の前提と化した観がある」と出展者は口をそろえた。
メゾンやハイエンドブランド、SPAで「〇〇年には店頭全品を何らかの形でエコ仕様に」といった打ち出しがこの間相次いだこともこの傾向を加速させた。天然素材認証の質・機関へのこだわりが強まり、生分解性認証やリサイクル認証、水使用量低減のエコ加工まで製品ライフサイクル各面へと提案の裾野が広がり続けている。
出展者側もエコ対応が必須との認識が完全に定着し、さらにエコ商品拡充を図る出展者は多い。PVパリに出展する東光商事のように昨年からブース構成をオーガニックコットン主体のエコ素材のみの出展に切り替え、今回からは再生コットンや、生分解性のあるポリ乳酸繊維、和紙糸使いの天然藍染めなど、エコと日本らしさを絡めて商品を拡張した例も目立った。
単なるエコ仕様の原料への置き換えでなく、ファッション性も大きな焦点となった今回。合繊メーカーも再生ポリエステル使いを中心に異型断面糸や強撚物・構造加工糸など糸加工品で、レギュラー品水準を目指して意匠性・表現力を高めた提案がならんだ。
東レは「アドバンスド・エコ・ファブリック」と銘打って再生ポリエステル品の表現力向上を訴求。スパン調も含めてシワ加工などの合繊らしくない表情に、撥水加工などの機能も加えた。メゾンの継続客からも既に「エコ対応品への置き換え要望が相次いでいる」と言う。
廃ペットボトルの独自の調達ルートを日本に持つ蝶理も再生ポリエステル生地ブランド「エコブルー」で、糸加工物を拡充。従来のタフタ系生地も、ハイエンドブランドのセットアップ攻略に向け、ハリコシやドレープ性がある生地を強化した。国内で早くから手掛ける再生ペット活用商品の商標を、海外向けで再訴求する帝人フロンティア「エコペット」やチクマ「アーシンク」などの例もある。
「展開する従来品の多くがエコ仕様だったが、あえて前面に出してこなかった」帝人フロンティアも、今回から改めてPRに乗り出した。原料の約4割が植物由来成分のポリトリメチレンテレフタレート繊維「ソロテックス」の特徴も再訴求。エコペット使いも合わせて婦人紳士用それぞれの仕上げバリエーションをファッション用途に再訴求した。さらに今回から、半分をエコ原料化したポリエステル100%コンジュゲート繊維使いや、起毛せずダブルラッセル地をセンターカットすることで、繊維くずを大幅に削減し「アンチ海洋マイクロプラスチック」をうたったフリース代替生地も提案している。




