クローズアップ/旭化成繊維イタリア 社長 飯高 健 氏/ブランド認知・用途拡大双方に注力

2020年02月26日 (水曜日)

 イタリアで裏地用途を軸にキュプラ繊維「ベンベルグ」の販売を手掛ける旭化成繊維イタリア(イタリア・ガララーテ市)。同社の飯高健社長に、裏地市況の現状を踏まえ、アウター用途拡販の方途も含めた来期の販売戦略について聞いた。

     ◇

  ――欧州の裏地市況は。

 従来から厳しい状況ですが、昨年11月以降さらに鈍化しました。機業の生地在庫がはけず、稼働率も予想以上の落ち込みです。大手各ブランドのスーツ販売減、ビジネスシーン軽装化に伴う要尺減が背景にあります。

 その中、当社は今期(2019年4月~20年3月)ベンベルグの裏地向け販売量が前期比5~10%増の見通しで、市況からすればかなりの善戦です。アウター用途も引き合い堅調で、おおむね期初計画通りの販売量でした。

  ――善戦の要因は。

 この間のエコ・サステイナブル(持続可能な)潮流の深化で、ハイエンドブランドから原料トレーサビリティー(追跡可能性)確保の要望が増えました。これに対応して、旭化成がベンベルグで取得したグローバル・リサイクル・スタンダード(GRS)認証を、販売先の機業も取得し始めており、サプライチェーン全体をカバーするトランザクション・サティフィケート(TC)の提供が可能になったことが追い風になりました。

  ――来期の課題は。

 今後さらに高まるこの潮流に対応して、さらにTC網を広げます。18年以降は欧州でも「キュプロ」から「ベンベルグ」ブランドでの販売に切り替えていますから、素材認知の促進も重要です。

 「プルミエール・ヴィジョン・パリ」や「ピッティ・ウオモ」など欧州主要展でのPRに加え、学生支援の取り組みも続けています。前年度はミラノ工科大学、今年度はローマのアカデミア・ナショナーレ・ディ・サルトーリが運営するテーラー養成学校とコラボで展示会の製品展示を行い、学生には当社の企業姿勢にも触れてもらっています。

 こうした新世代のデザイナーやMD、消費者向けPRに加え、「ミラノ・ウニカ」や「ピッティ・フィラーティ」といった地元展発の発信もさらに強化できたらと思います。

  ――原料販売での課題は。

 逆風下の裏地用途は販売量維持が大命題です。他方、服地用途ではスポーツやリラクシング分野への注目の高まりで拡販の余地が大きいとみています。とりわけヨガウエアなど丸編み地の引き合いは目下増えつつあります。

 販売先の機業やニッターと協働し、メゾンやハイエンドブランドのスポーツカジュアルライン拡充に合わせた素材開発に力を入れます。裏地でも、カジュアルウエアなど、いわゆるスーツ用裏地以外の用途でまだ開拓余地があるとみています。