TYSMインドネシア/製品は素材で勝負/ローカル向け販売も必要に

2020年03月13日 (金曜日)

 豊島のインドネシア子会社であるTYSMインドネシアは日本向け製品事業で素材開発に力を入れる。これまで好調だったローゲージのセーターに続くヒット商品の開発に取り組む。

 吉村修社長によるとインドネシア経済は特に下半期から景気が低迷している。繊維分野でも中国企業が安値でオーダーを受ける動きを強めたことや、中国品の流入が増加したことでインドネシア繊維産業の事業環境が悪化した。

 このため同社も2019年度(12月期)は業績に勢いがない。綿花販売など原料事業は紡績の稼働率が低下したことで苦戦。糸・生地販売は上半期こそ好調だったが、下半期に入ってから失速した。日本向けの製品事業は中国との競争が激化して勢いがない。「インドネシア生産は納期面でどうしても中国に対して劣後してしまう」と分析する。

 このため20年度は特に製品事業で「素材で勝負する」との戦略で臨む。製品はこれまでローゲージのセーターなどが好調だったが、ここにきてトレンドが一服した。このため特殊原料や紡績糸使いなどの開発を強化し、新たなヒット商品を生み出すことを目指す。

 日本向けや日系企業向けの販売だけでは限界があるとの考えも強まり、「ローカル企業への販売拡大が必要」と指摘する。ただ、売掛金の回収などでハードルも高い。こうした問題をどのようにクリアしていくかも今後の課題として検討を進める。