ユニフォーム総合特集(4)/メード・イン・ジャパンの粋 世界に発信

2019年11月29日 (金曜日)

 「A+A2019」には初出展を含む日本企業が二十数社出展した。素材大手をはじめ、手袋、防護用品など、日本製品はアフターフォローも含め海外で信頼性が高い。今回展では欧州でも関心を集め出した猛暑対策への提案も見られた。

〈機能プラスアルファ訴求/日系素材メーカー〉

 「A+A2019」に出展した日本の素材メーカーは高機能だけでなく、環境面などプラスアルファの付加価値を提案し、多くの来場者を引き付けた。

 東レはブースを二分し、一方で環境負荷低減素材、もう一方で化学防護服向けの「リブモア」を展示した。環境負荷低減素材は、エコテックスの「STeP認証」を取得しているペンファブリック(マレーシア)の技術力、部分植物由来ポリエステル繊維「エコディアPET」、さらに水や洗剤を減らせる防汚加工「テクノクリーン」などを訴求。環境保全意識が高い欧州向けにアピールした。

 帝人はメタ系アラミド繊維「コーネックス」、パラ系アラミド繊維「トワロン」「テクノーラ」など消防服、防護服向け素材を前面に押し出した。最大の特徴である耐切創、耐熱性といった人体を守る高い機能性とともに、タイでの生産力も紹介した。

 ユニチカトレーディングは機能性とともに環境への配慮を訴求した。環境配慮型ポリエステル素材であることを示す「エコフレンドリー」マークシリーズや起毛なしでも起毛素材と同等の保温性を実現した「エアーホールド―NB」を紹介し、「来場者の関心も高い」と好感触を獲得。共同でブースを構えたユニチカスパークライトは工業洗濯75回に耐える反射材やこれまで難しかった黒やネービーで輝度を高めた反射材を訴求した。

 カネカは難燃作業服分野へモダクリル繊維「プロテックス」を紹介した。前回よりもブースを拡大し、旭化成のキュプラ繊維「ベンベルグ」使いやスパンデックス「ロイカ」を使うことで快適性を高めた素材を初めて披露した。

 東洋紡は引き続き、耐切創手袋用途に高強力ポリエチレン「ツヌーガ」を訴求した。需要の拡大などを背景に同分野への販売は好調で、今回展ではさらに、東洋紡STCが扱うガラス繊維も紹介し、同分野を深耕する。

〈機械、付属、安全靴/初出展も手応え〉

 初出展の田村駒(大阪市中央区)は、高視認性安全服分野に挑んだ。小松マテーレ、東レといった日本企業の機能性素材を、生産拠点のベトナムで縫製。欧州市場で提案したところ、林業向けに引き合いがあり手応えを得たと言う。「日本素材の強みを出し。商機をつかみたい」と意欲を見せる。

 島精機製作所は初日から成約するなど、順調な商談を進めた。従来の手袋用途以外にも広げ提案した。コンパクトサイズの「ホールガーメント」横編み機「SWG091N2」では、耐切創性の高い糸を使い足袋のアッパーを編んで披露した。さらに、コンピューター横編み機「SVR123SP」では、耐切創性の高いエプロンを製作した。

 モリトは3回目の出展で、作業服用の付属などを紹介した。樹脂ホックでは、欧州の工業洗濯基準に対応した商品などを紹介した。さらに、滑りにくい靴底資材も体験器具を設置し訴求した。

 初出展のオルファ(大阪市東成区)は、安心設計のカッターナイフ「セーフティシリーズ」を提案。地元代理店なども活用し、商談に臨んだ。新商品の刃が指などに触れにくい開梱(かいこん)用の商品を紹介し、注目された。

 初の単独出展のヤマツネ(名古屋市中村区)は靴下やワークギアの「ワークアシスト」ブランドを紹介した。靴下では土踏まずをサポートして疲れにくい機能を訴求した。

 同じく初出展となる安全靴メーカーのシモン(東京都中央区)は、欧州向けの商標「AIZEX(アイゼックス)」で安全スニーカーをそろえた。

 プロモート商品は転倒災害を防止する耐滑性に軽量性や足に優しい屈曲性など独自の技術を集積したソール「SX3層底F」。欧米のメーカーが安全スニーカーを多数出展する中で、メード・イン・ジャパンの存在感を示した。

〈強いぞ!日本製手袋/熱中症対策製品も〉

 アトム(広島県竹原市)は、防振手袋で欧州の規格に合格した商品をそろえたことで好評だった。さらに、マイナス30℃の環境下でも固くならないニトリル手袋も珍しい商品で、来場者の興味を引いた。

 ショーワグローブ(兵庫県姫路市)は、使い捨て手袋で成分解性を高めた商品を提案。価格を従来品並みに抑えたことで、購入しやすくなった。

 住友ゴム工業の子会社でゴム手袋製造のスミラバーマレーシアは、「ダンロップ」ブランドからの新商品で耐薬品用の手袋を提案。新商品ではコストを抑え、よりボリュームのあるゾーンを開拓する。

 産業用安全用品製造・販売のヨツギ(東京都中央区)は、高圧作業用電気絶縁手袋と、作業着を出展した。「海外市場は大手が台頭しているが、メード・イン・ジャパンの品質と信頼性で広げていきたい」と話す。

 夏は欧州でも記録的な高温が見舞い、熱中症対策製品も会場で注目された。スリーライク(茨城県龍ケ崎市)は電動ファン付きの反射材ベストを参考出展した。初出展の鎌倉製作所(東京都港区)は冷水を衣服内に循環させる「クーレックス」を紹介した。「さまざまな国のバイヤーに会えた。今後に生かしたい」と話す。