繊維ニュース

特集 アジアの繊維産業Ⅰ(10)/わが社のアジア戦略/帝人フロンティア/成長領域拡大へ高度化

2020年03月30日 (月曜日)

 帝人フロンティアは衣料から産業資材まで、幅広い分野を手掛ける一方、糸・わたから織・編み物、縫製品まで一貫による開発、生産、販売体制を持つ。その中で日本や中国と並んで重要な位置を占める東南アジアのグループ企業はさらに商品、販売の高度化に取り組む。

〈TPL・TJT/変化に対する機動性重視〉

 テイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)とテイジン〈タイランド〉(TJT)は帝人フロンティアの衣料用・工業用ポリエステル長・短繊維のマザー工場でもある。

 輸出比率は60~70%と高く、高付加価値品に特化、現状は生産・販売に大きな変化はないが、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済や生産・消費各段階への影響が懸念される上、原油、粗原料、為替相場も変動する可能性がある。

 このため、TPL・TJTでは「外部要因を最小化することが最大の経営課題」とし、変化に対する機動性が最も重要と強調。需要変動に即応できる販売体制、原料価格変動による影響を最小化する購買・在庫管理の強化、そして変動の耐性を向上させるため独自性の強化が重要として、研究開発も重視する。

 一方でTPLの主力であるショートカットファイバーは今後も需要拡大が見込まれる上、品質要求が厳しいため、最も優位性が築きやすい市場と位置付け「できる限りの経営資源を投入し、顧客・市場に最大の貢献を行い、拡大を目指す」とする。

〈テイジン・フロンティア〈タイランド〉/車資材に続く用途育成〉

 テイジン・フロンティア〈タイランド〉(TFRT)は産業資材用繊維や、不織布の原材料を得意とし、衣料用テキスタイルの取り扱いは全体の10%弱にとどまる。主力の産業資材、不織布原材料も自動車資材が多い。一方で各用途とも日本向けは少なく、アジアにおける地産地消に軸足を置いている。

 主力用途である自動車資材の先行きは芳しくない。同社によると、タイの重要産業でもある自動車は2020年、前年比でさらに落ち込むとの見通しがある。これによる関連事業への影響は大きいとみる。

 このため、「需要が落ち込む環境下で、いかに無駄な経費、ロスの削減などで支出を抑え、利益を維持するかが課題」としている。

 同時に自動車資材に続く大型用途の育成に取り組む。

 景気低迷時に、今後の内需の拡大に向けた種まきをしっかり行うことが重要とする。昨年後半から為替相場が緩やかながらバーツ安に動き始めていることから、近隣のASEAN諸国をはじめとする輸出商圏の復活にも期待する。

〈テイジン・フロンティア・インドネシア/日用品、建材、自動車を拡大〉

 テイジン・フロンティア・インドネシアは対欧米・対中東テキスタイル輸出と日本向けアパレル製品、そして資材用織物の生産・販売が主力。2019年度は業績も堅調に推移した。ただ、ここに来てインドネシアでも新型コロナウイルス感染拡大の影響が強まっており、先行きに不透明感が高まる。

 既存事業が堅調に推移する中、今後はインドネシア国内での日用品、建材、自動車向け資材の販売拡大を目指す。そのために帝人フロンティアが持つ差別化素材を積極的に活用し、ローカルスタッフによる生産管理・販売活動を強化する。世界的に要求が高まるリサイクル素材の開発と生産にも力を入れる。

 ここに来て新型コロナ感染症の拡大が不安要素となってきた。インドネシアでも人の移動制限やイベントの延期・中止指示が出ており、商談の停滞や経済への悪影響が懸念される。医療体制の脆弱(ぜいじゃく)さもあっていつ収束するのか見えない。工場稼働の停滞も予想されるだけに、警戒感が高まっている。

〈テイジン・フロンティア〈ベトナム〉/対日スペース確保に全力〉

 テイジン・フロンティア〈ベトナム〉の主要事業は、1990年代から継続している衣料品縫製の生産管理業務。スポーツ衣料、重衣料、軽衣料、子供服など多様なアイテムを縫製するが、品質管理スタッフを各工場に派遣して品質向上に努めている。長年の事業によって専門知識を持ったスタッフが多いのが強みだ。

 2019年度の売り上げは、前期比2%の微増となる見通し。20年度は生産管理の徹底、採算性の改善、労務管理の徹底、各チームの効率性追求などに力を注ぐ。

 新型コロナウイルスのビジネスへの影響は、20春夏向け出荷をほぼ終えていたため回避できた。ただし今後は中国からの原材料調達に不具合が生じてくる懸念が大きい。協力工場の経営悪化など不安要素もあり、「先が読めない」。これにより自社の業績が落ち込むことも想定する。

 同国では近年、活性化する欧米向けの一方、ロットが小さい対日の縫製スペース確保が課題になっている。同社はこの維持拡大に向け、適正工賃、安定発注、閑散期対策などにこれまで以上に力を入れる。

〈タイ・ナムシリ・インターテックス/欧米アパレル開拓強化〉

 タイ・ナムシリ・インターテックス(TNI)はポリエステル長繊維織物の織布・染色加工一貫工場だ。

 設備更新も積極的に行う。昨今は丸編み地の生産販売もスタート、その規模を拡大してきた。

 全販売量の70%を輸出するが、市場環境が厳しい中でPTT繊維「ソロテックス」やリサイクル糸を使った差別化素材を強化し、2019年度売上高は前期並みを確保できる見通しだ。

 ただ、今後は市況悪化が予想されるだけに、品質向上によるロス削減、ユーティリティー設備の効率化向上による省エネ、構内物流の効率化などコスト削減にも注力する。

 販売面ではグループ企業と連携しながら「欧米スポーツアパレルの新規顧客開拓を進める」方針だ。「ブルーサイン」認証を取得する点も武器にリサイクル糸を使い、ソロテックスなど帝人フロンティア独自の差別化素材も活用。グループ企業と連携した販促活動に取り組む。

 一方、タイ国内販売は在タイ商事会社のテイジン・フロンティア〈タイランド〉と連携し、ユニフォームやスポーツ向けで新規顧客開拓を図る。