特集 アジアの繊維産業Ⅰ(12)/検査機関のアジア戦略

2020年03月30日 (月曜日)

〈ボーケン/ASEANに3拠点/品質保証パートナーへ〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)はASEANのインドネシア、ベトナム、タイに試験センターを設ける。カンボジア(プノンペン)にも事務所を開設し、世界的な検査機関SGSとの業務提携で運営する。各拠点とも一般的な生地、製品試験を実施、特定芳香族アミンなどの分析試験にも対応する。現地では繊維の基礎知識セミナーなども行い、「品質保証のパートナー」を目指す。

 ジャカルタ試験センターは、2012年に開設。最近は人件費の安い中部ジャワ地区からの問い合わせや需要が増えている。今後は「中部ジャワ地区でもセミナーなどイベントを開き、認知度を上げていく」と言う。衣料品のほか、日用品や産業資材の問い合わせも増加している。

 インドネシア商業省は繊維製品などについて「K3L(安全・健康・環境)関連商品の試験方法、登録、監督、商業活動の停止と回収の手順に関するインドネシア共和国商業大臣令」を公布し、製品登録制度を実施した。

 対象製品を現地で製造、現地へ輸入する事業者は、事前にインドネシア国家規格などに基づく試験を実施し、製品登録証を取得、販売前にその番号を製品に表示するのが義務化された。ボーケンはSGSの協力を得て、インドネシアの法律に対応する報告書を発行できる。

 ホーチミン試験センターは開設して6年目。ベトナム南部だけでなく、北部のハノイ、ハイフォン地区、カンボジア国境のバベット地区からの問い合わせもあり、試料の転送サポートなど新しいサービスを提供する。「近年、生地試験が増加。抗菌試験をはじめ、機能性試験の拡充に注力」する。食器などの器具・容器包装についてもSGSの協力を得て食品衛生法試験にも取り組む。

 バンコク試験センターは生地試験が増加。特に抗菌試験の依頼が増えている。隣国ミャンマーから送付された試料の品質試験も行う。

〈QTEC/現地スタッフを戦力化/ベトナムは全土カバー〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は中国に5拠点を設ける。新型コロナウイルス感染拡大の影響で休業期間が延びたが、2月中に営業を再開した。「通常に近い状況にあるが、新型コロナ感染の影響もあり、仕事量は昨年より少ない。素材工場が止まると、出口の縫製工場にも影響が出る」と、原料や生地の調達の進展状況を注視している。

 中国の中心的拠点である上海総合試験センターは2月10日から営業を再開した。抗菌性試験や特定芳香族アミン類試験といった安全性試験のほか、機能性試験、雑貨の試験も行う。

 無錫試験センターも稼働。羽毛試験に定評がある。南通に新設した現地法人「南通浩達紡織品検測」(南通試験センター)の業務は好調に伸びている。「南通はアパレル生産地として需要が多い。機能性試験機も入れていく」と注力。上海、無錫、南通の3拠点による「華東地区トライアングル体制は今後も強化、拡充していく」方針である。

 現地法人化した青島試験センター(青島可泰検験)は2月11日から再開した。「上海同様に青島は早期再開できた。肌着や寝具などの試験が順調で、元の状態にほぼ戻っている」と言う。

 深セン試験センターは、傘、バッグ、靴など雑貨試験のほか、婦人下着の試験が伸びている。2月19日から営業を再開した。広東省からの雑貨試験の依頼もある。

 CSR工場監査は「日本国内で先行して組織作りを行っているが、上海を中心に中国での展開も目指している」ところだ。上海では出張検査員の現地化も進める。現地のナショナルスタッフを教育しており、昨年から日本で研修を行い、現在5人が出張検査を開始した。

 2010年に進出したバングラデシュのダッカ試験センターは、順調である。同国内からの試験依頼だけでなく、インドやパキスタンからの依頼も増えている。Tシャツやジーパンなどの原料が国内調達できるのが同国の強み。最近は合繊物も増えている。

 ベトナム試験センターは、提携先のインターテックベトナムの協力を得て展開。「衣料以外のバッグやタオルの試験依頼もある」ようだ。ハノイやダナンからもインターテックの集荷サービスを利用し、ホーチミンで試験する体制も構築。「ベトナムでは内販が増えている。強制認証のCRマークが義務付けられているが、提携先のインターテックで認証が可能」と言う。

 ミャンマーにおいても「繊維の基礎知識」「品質管理」についてのセミナーを開いた。現地工場のナショナルスタッフ向けである。今後については「現地のナショナルスタッフを育成し、より戦力化する」とともに、「本年初頭に明示した各拠点のミッションを確実に実行していく」考えだ。

〈ジャカルタ試験センター/コンサル業務を拡充〉

 ボーケン品質評価機構のジャカルタ試験センターは、日本向け繊維素材・製品の検査業務に加えて、インドネシア内販を視野に入れた品質コンサルティングなどのサポート業務を拡充する。

 同センターは現在、日本向けの検査業務が主力だが、「日系繊維企業も日本向けだけでは将来性に限界があるという見方を強めており、インドネシア内販に向けた対応を強化している」と桑久保正通所長は指摘する。

 インドネシアでは2020年8月までに衣料品を除く一般消費者向け繊維製品に対して化学物質の含有量を事前に検査・登録する制度が始まった。こうした規制への対応も含めて内販向けに連携するSGSと国内規制に対応した試験の準備を進め、情報提供など品質コンサルティングなどサポート業務の拡充を進める。