特集 北陸ヤーンフェア2019(1)/16、17日、福井で初開催/出展3割増、新規4割 進化する糸、深化するエコ

2019年10月09日 (水曜日)

 「北陸ヤーンフェア2019」が10月16、17日、福井県産業会館(福井市)で開催される。石川県繊維協会と福井県繊維協会の共催では昨年に続き2度目。両県からの支援も得た連携事業は全国的にも珍しい。今回展ではテーマの「進化する“糸”、深化する“エコロジー・サステイナビリティー”」の下、前回展の44社・団体を約3割上回る過去最高の59社・団体が出展する。

〈北陸への期待表す出展増/糸だけでなく幅広い内容〉

 北陸産地は合繊長繊維織・編み物を主力とする日本最大の繊維産地であり、糸の大消費地でもある。高品質なテキスタイル生産、技術開発力などで世界をリードする。その北陸への期待感が今回の出展者約3割増という形になって表れた。

 北陸ヤーンフェアは16年、17年と蝶理が実質的な主催を担い、石川県金沢市で開催した。18年からは福井、石川両繊維協会が主催する形となり、金沢市で第3回展が開催された。

 その結果、合繊メーカーや北陸産地企業はもちろん、他産地企業からの出展が増加し、業種の幅も広がった。出展者数を見ると、16年13社、17年22社だったが、前回展の18年は44社と倍増。そして初の福井県開催となる19年はその約3割増に拡大した。

 糸の国内展示会としては愛知県一宮市で開催される「ジャパン・ヤーン・フェア」(JYF)が16回を数えるなど知名度は高い。そのJYFの今年2月の出展者は65社・団体。北陸ヤーンフェアは蝶理時代も含めてわずか4回でJYFに匹敵する出展者数に成長した。

 今回展は新規出展者が全体の4割に当たる23社を占めたのも特徴の一つだろう。しかも、新規出展者はかなり幅広い。繊維関連企業はもちろん、前回展では福井大学だけだった大学も、信州大学、京都工芸繊維大学と繊維関連の大学が顔をそろえた。

 検査機関ではボーケン品質評価機構、日本繊維製品品質技術センター(QTEC)も初出展する。もちろん、前回に引き続き公的機関も継続出展する。日華化学、高松油脂の加工薬剤メーカー2社が初出展し、繊維機械メーカーや機械商社の出展者も増えた。

〈薬剤から機械・部品まで/糸に関連する最新技術も〉

 日華化学は福井市に本社を置く繊維加工薬剤の大手であり、高松油脂(大阪市中央区)も石川県能美市に北陸工場を持つ地元企業でもある。繊維機械メーカーではTMT神津(兵庫県三田市)が初出展。村田機械は2年ぶりの出展となり、島精機製作所は継続出展する。

 繊維機械商社では伊藤忠システック、エディー(大阪府東大阪市)が初出展し、継続出展する極東貿易(東京都千代田区)含めて繊維機械関連はさらに充実した。これに、糸道製造の湯浅糸道工業(名古屋市天白区)、豊島子会社でデザインシステムのトヨシマビジネスシステム(名古屋市中区)の継続組、繊維機械商社のテクノトレーディング(福井市)、紙管製造の昭和丸筒(大阪府東大阪市)、機料店の宮下機料(福井市)の新規出展を含めて、設備関連企業は10社にも及ぶ。

 もちろん、前回同様、旭化成、旭化成アドバンス、ユニチカトレーディング、三菱ケミカル、クラレトレーディング、帝人フロンティア、KBセーレン、東レ、東レインターナショナル、東洋紡STCと合繊メーカーも商事子会社を含めて顔をそろえる。

 糸に絞った形で、これだけの合繊メーカーが出展する展示会は他にはない。合繊メーカーは原糸開発のけん引役だけに、今回展でどのような新しい糸を打ち出すのか、出展者も注目する。大手だけではない、同展は糸加工メーカー、糸商も主役。それは北陸に限らないが、その出展者が増えている。

〈他産地からも出展増/エコ、サステがテーマ〉

 今回展にはメーカー機能を持つ繊維商社のジャテック(金沢市)や林田(福井県坂井市)、ヤギ、GSIクレオス、サイボーなど地元に拠点を置く繊維商社に加え、他産地からの新規出展が増えた。その1社が豊島。綿糸や毛糸など紡績糸を主力とするが「合繊のモノ作りも勉強すべき。出展しなければ何も分からない」と出展を決めた。JYFのお膝下である尾州産地をはじめ中部地方からは、長谷川商店(愛知県一宮市)、滝善(同)、ミマス(三重県玉城町)も初出展。継続のモリリン、カワボウテキスチャード(岐阜県羽島市)含めて6社が出展する。

 その他、継続出展のラメ糸製造の泉工業(京都府城陽市)、糸商の北洞(京都市)、河辺(奈良県大和高田市)など他産地からの出展は多い。これも他産地企業の北陸産地に対する期待の表れだろう。

 今回展は「進化する北陸の“糸”、深化する“エコロジー・サスティナビリティー”」がテーマ。特に昨今、急速にニーズが高まるエコやサステイナビリティー(持続可能性)対応素材は数多く出品される。

 その中でいかに違いを出せるか。北陸ヤーンフェアは他の繊維展とは異なり、ユニフォームを着用した製造現場の担当者も数多く訪れる。彼らは基本的な糸に対する知見を持っているだけに、「専門的で、具体的な話ができる」との声が多い。つまり、違いが分かる来場者。他社との差別化をどのように打ち出せるか。そこも見どころかもしれない。