特集 北陸ヤーンフェア2019(5)/出展者の見どころ

2019年10月09日 (水曜日)

〈PTT先染め糸メイン/アウター以外にも広げる/シモムラ〉

 糸加工メーカーのシモムラ(石川県小松市)はポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」の先染め糸をメインに打ち出す。

 ソロテックスを使ったホールガーメント製品や横編みセーターなどを展示しアウターでの展開を紹介するだけでなく、ネクタイや靴下、タイツなどアウター以外の分野のサンプルも紹介。「今までにはない、ソロテックス先染め糸の可能性を探りたい」と言う。

 既にネクタイに採用されており、靴下や着圧タイツなども開拓中と言う。ソロテックスではウール、綿、シルクなど天然繊維との複合糸も提案する。

 子会社のフクイセイシ(福井県大野市)によるPIN仮撚加工糸に1工程を加えた、ボリューム感を持つ「ボルーメ」(仮称)も提案するほか、新たに2台導入したエアー混繊機による複合糸や糸起毛機を活用した意匠糸を訴求するなど「糸加工でもさらに進化させたモノ作りを見せたい」と意気込む。

 全体テーマであるサステイナブル(持続可能な)にのっとり、ペットボトル再生糸による先染め糸もさまざまな糸加工を組み合わせにより提案する。

 同社は撚糸機、PIN仮撚機などさまざまな糸加工機に加え、ソフィーナ新潟工場には織機も構える。2019年10月期売上高は前期並みで着地する見通し。

〈エコな先染めストレッチ/ペットボトル再生により/タロダ〉

 糸商のタロダ(石川県内灘町)はペットボトル再生長繊維でストレッチ性を持つ「エコッタα」を打ち出す。同社は元々、ストレッチ性が特徴の仮撚加工糸による先染め糸を「エコッタ」ブランドで15色構えて販売している。エコッタαはそのペットボトル再生版で、同じく15色をそろえる。全体テーマであるサステイナブル(持続可能な)に沿った提案でもあり、その他にも原着ポリエステル長繊維も出品するが、これはカラーカードのみの出品になる。

 備蓄販売するカラーブック帳「JTC」シリーズをメインに販売するが、今回展ではエコットαや原着糸のほか、JTCシリーズから超ソフトのハイカウント加工糸「JTC―MS」、中空糸で吸水速乾性や滑らかな肌触り、軽量性を持つ「ディーエアー」、割繊糸でスエード感を表現する「カッセン」も出品する。

 同社はかほく産地の細幅織物向けを主力とするが、北陸ヤーンフェアはもちろん、愛知県一宮市で開催される「ジャパン・ヤーン・フェア」にも9回連続で出展しながら、他産地も開拓し、幅広いニーズに対応する。糸加工は協力工場への委託に加えて自社にも撚糸機などを構える。

 2019年8月期売上高は前期比約5%減となったもよう。細幅織物向け定番糸の販売が苦戦しており「商品や販売先も変える必要がある」と言う。

〈機能など3テーマで/天然繊維の杢感表現/山甚撚糸〉

 糸加工メーカーの山甚撚糸(福井市)は機能、テクスチャー、サステイナブル(持続可能な)の3テーマで提案する。機能では原糸に糸加工を施すことによる超速乾性や高密度織物でありながらストレッチ性を付与できる糸を紹介する。

 テクスチャーでは複合など糸加工技術を駆使することで天然繊維の杢(もく)感を表現できる糸を数多くそろえた。設備更新したエア加工機によって、今までとは異なる杢感を出せるようになった。北陸ヤーンフェアを通じて、来場者の意見を聞き、取り組み先を開拓する考え。

 サステイナブルではトリアセテート長繊維とレーヨンやキュプラ繊維との複合糸を提案。一部、再生ポリエステル長繊維を使った複合加工糸も提案する。

 今回展ではブースも外部デザインによる独自設計するほどの力の入れよう。来場者との対話を重視し、取り組み先の開拓に力を入れるほか、従業員教育にも結び付けたいと言う。

 同社は受託による糸加工が90%を占めるが、北陸ヤーンフェアに継続出展してきた。その効果もあって他産地企業との取り組みも増えている。

 前2月期は10%弱の増収だった。新規顧客の開拓も寄与している。今期の受注状況は苦戦しているものの、下半期からは回復基調。前期並みの売り上げ確保を目指す。

〈ブック掲載糸は当日発送/設備保有し準備加工も行う/林田〉

 糸商の林田(福井県坂井市)は細幅織物向けを主力に、各種先染め糸を備蓄販売する一方、整経機4台(部分、自動)、一本糊(のり)付機2台、綛(かせ)繰り機100錘の設備も構え、準備加工にも対応する。北陸ヤーンフェアには2年前に出展して以来。地元の福井開催であることから、2度目の出展を決めた。

 「クオリティー」「クオリティー75デニール」「プラス」「CDヤーン」など先染めポリエステル長繊維糸や、先染めレーヨン糸など、豊富なカラーバリエーションと糸種からなるブック帳を構える。販売は1㌔コーン1個から可能で、ブック帳掲載糸は16時までの受注であれば当日発送する。

 今回展ではこれらの見本帳を展示する一方、各種設備を保有する点を紹介し、通常のテキスタイルから細幅織物、リボン、ニットなど向けの「サンプルや小ロットの準備加工を請け負うことができる」点もアピールする。今回展のテーマに合わせてレーヨンやキュプラ繊維使いで生分解性も訴える。

 同社は1965年創業。織ネームやリボンなどの細幅織物向けが全体の約半分、残りは通常のテキスタイル向け。北陸産地だけでなく、尾州、桐生、米沢、京都など他産地向け販売も多く、北陸以外が約60%を占める。別注対応ながらテキスタイル販売も手掛けている。

〈特徴持つ複合加工糸/麻調、杢など最新作/カジグループ〉

 カジグループ(金沢市)は、ポリエステル長繊維による天然繊維ライク糸や杢(もく)糸、ストレッチ糸、さらにキュプラ繊維を使った複合加工糸によるエコ、サステイナビリティー(持続可能性)対応の糸などをメインに提案する。

 糸加工から織布、編み立て、縫製品、さらに繊維機械まで手掛ける同グループ。前回の北陸ヤーンフェアでは各種提案を行ったが、今回展は糸加工のカジナイロン(同)主体での提案を行う。

 天然繊維ライク糸では新開発の麻調ポリエステル長繊維をメインに打ち出す。同社によると、麻調ポリエステル長繊維は部分融着糸を使用するため、ストレッチ性の付与が難しいが、複合加工糸にすることで糸を捲縮(けんしゅく)させて伸縮性を付与した。杢糸も新開発の糸加工法によるものという。

 トレンドであるエコ、サステイナビリティー対応は得意とするキュプラ繊維の複合加工糸など「最近の自信作を紹介する」考え。展示は各種糸を使った生地、製品で見せる。

 同社は今年、自主販売するテキスタイルブランド「カジフ」を立ち上げたが、糸もブランディングし、自主販売の拡大を目指している。現在、糸の自主販売は全体の3%程度。拡大には特徴ある加工糸を武器にブランディングも必要との考え。そのためにも開発力が重要としている。

〈差別化糸ブック帳訴求/糸からの一貫生産に強み/ジャテック〉

 メーカー機能を持つ繊維商社、ジャテック(金沢市)は今年発刊した、糸ブック帳「ジャテック・オリジナル・ヤーン・シリーズ」に掲載する、独自の差別化糸をアピールする。新ブック帳は混繊糸、スラブ糸、意匠糸、ストレッチ糸や、カチオン可染糸ミックスのタスラン加工糸「ジャスラン」シリーズなど四十数種類からなる。

 この差別化糸を使った織物を自社生産できることから生地見本も展示し、認知度向上を図る。海外含めさまざまな原糸を調達し、各種糸加工を施して「海外にはできないモノ作りを行う」のが同社の特徴。初出展の北陸ヤーンフェアでは糸、生地、さらに製品まで展示し、糸加工からの一貫生産もアピールする。全体テーマのサステイナビリティー(持続可能性)にも対応し、再生ポリエステル糸や開発中のポリ乳酸繊維も出品する予定だ。

 同社は1980年繊維機械販売等で創業。92年に糸、織物販売を始めた。サイジング工場、織布子会社のジェイ・テキスタイル(金沢市)、エアー混繊加工子会社のケー・エヌ・テー(石川県中能登町)、編みレース製造・染色・カーテン縫製子会社のJCレース(福井県坂井市)というメーカー機能も持ち、グループで企画から生産、販売までの機能を持つ。その特徴を生かし、北陸発信によるオンリーワンを追求する。

〈バイオーダー型メーカー/小ロット対応の糸加工業/川プロ〉

 カバリング糸製造の川プロ(石川県かほく市)は各種展示会への出展を通じて「バイオーダーで小ロットに対応できる糸加工メーカーである」ことを訴求し続けてきた。北陸ヤーンフェアも同様で、ロットを問わず、別注顧客の開拓に力を入れる。

 同社は自社に構えるカバリング設備11台と外注も活用してカバリング糸「マイテル」を製造販売する。

 カバリング糸には1種類の糸をスパンデックスに巻き付けたシングルカバリングと、2種類の糸をスパンデックスに巻き付けるダブルカバリングの2タイプがあり、基本はバイオーダー。サンプル糸をたった2~3㍍でも作る。

 「その機能をいかに認知してもらうかが重要」として、北陸ヤーンフェアだけでなく、愛知県一宮市の「ジャパン・ヤーン・フェア」など展示会に継続出展し、取り組み型ビジネスを指向してきた。今回展も「モノ作りを実際に行う来場者と話し込みたい」と期待する。

 今回展では全体テーマのサステイナブル(持続可能性)を考慮し、旭化成の再生スパンデックス「ロイカEF」使いの出品も予定している。ロイカEFは工場内で発生した不使用糸などを原料とする。これとペットボトルなどの再生ポリエステル長繊維との組み合わせたカバリング糸も提案する。

〈引き続きカラーネップ糸/福富〉

 糸商社の福富(金沢市)はカチオン可染糸合撚によるポリエステル100%カラーネップ糸「PEP」を引き続き訴求する一方、全体テーマのサステイナビリティー(持続可能性)に合わせて、オーガニックコットンと再生ポリエステル長繊維との長短合撚糸などを提案する。これを製品までして来場者の反応を探る。

 同社はバイオーダーによる染め糸販売が主力。ブック帳は構えないが、生産チームと連携し、さまざまな糸種で短納期に対応するのが特徴。

〈今年もインテリア照明/織工房風美舎〉

 織工房風美舎(福井市)は前回展同様、法衣向けカラミ織り技術を生かして開発した、モアレ模様のインテリア照明「モアレマジック」を出品する。前回もモアレマジックを出品し、異彩を放った。同社は和装織物の賃織りから転換した自販型機業場で、その点を産地企業に対してもアピールする考え。

 今年はイタリアのテキスタイル展「ミラノ・ウニカ」にもチーム・フクイ「FUKUI 布のえき」の一員として出展し、カラミ織物を提案したが、米国ブランド中心に4件ほどの着分依頼があったと言う。

〈エコとファッション調和/部分バイオのスリット糸/北洞〉

 糸商の北洞(京都市)は「調和」をテーマにエコ、サステイナブル(持続可能な)素材をファッション性や機能性を加味して見せる。その一つが部分バイオから成る人工スエード。これを使ったファッション性の高いレディース製品をメインに展示するが、同社が販売するのは人工スエードのスリットヤーン。通常の生地や製品で見せつつ、スリットヤーンの提案に結び付ける。

 人工スエードのスリットヤーンはバッグの取っ手やベルトなどで販売実績があるが、ニーズに応じてさまざまな幅で供給できる強みを生かし、ファッション雑貨だけでなく、アウター分野にも広げていく考え。

 部分バイオ原料使いでは人工スエードだけでなく、ポリエステル長繊維も出品するほか、スワッチでキュプラ繊維などのエコ、サステイナブル素材も提案する。

 同社は綿、絹、レーヨン、キュプラ、ポリエステル、ナイロン、アクリルはじめあらゆる原料を使った加工糸を備蓄販売し、5~10㌔単位の小ロットで対応するのが特徴。さまざまな顧客ニーズに応えることを基本とする。エコやサステイナビリティーもそのニーズの一つと捉えるが、そこに糸加工によって一工夫を施し、ファッション性や機能性と両立、調和させることで独創性を訴求する。

〈生分解性ラメの開発加速/シルバータイプも参考出品/泉工業〉

 ラメ糸製造販売の泉工業(京都府城陽市)は、生分解性ラメ「エコラメ」の開発を加速させている。既に量産を実現した透明タイプに加え、参考出展としてシルバータイプを披露する。北陸産地でも実績がある後加工対応ラメ糸「ジョーテックス」など豊富なラインアップを紹介することでラメ糸の需要掘り起こしを目指す。

 近年、世界的にサステイナビリティー(持続可能性)への要求が高まる中、生分解性を持つ繊維素材のニーズが高まった。こうした動きに対応するため開発したのがエコラメ。ラメは基材にポリエステルやナイロンのフィルムを使うのが一般的だが、エコラメはセルロースフィルムを使用することで生分解性を実現した。

 透明タイプは量産技術を既に確立し、特に欧州へのテキスタイル輸出に取り組む産地企業から多くの引き合いを得ている。こうした中、ラメとしてニーズが高い着色タイプへの期待も高まっている。このほどシルバータイプの開発にも成功し、「北陸ヤーンフェア」にも参考出展する。今後、量産化に向けた技術確立を急ぐ。

 同社はアルカリ減量加工しても変色などが起こらないラメ糸、ジョーテックスなど多彩なラメ糸で北陸産地でも豊富な実績を持つ。こうした実績を生かしながら、ラメ糸に関するユーザーからのさまざまな要望に応える。“相談できるラメ糸メーカー”として細かなニーズに対応する開発と提案に取り組む。

〈和紙と長繊維使い提案/滝善〉

 滝善(愛知県一宮市)は美濃和紙と長繊維使いを中心としたニット向けの差別化糸を提案する。北陸ヤーンフェアへの出展は初めて。

 美濃和紙と綿混のストレート糸「ブーマーC」は毛番換算で27番単糸。これまで和紙使いの糸は太番が主流だが、編み機が限られることが多かったため、細番手化で用途を広げた。

 日本の独自素材を使った糸も訴求。キュプラ繊維やトリアセテート繊維を異素材と組み合わせた「ベンロン460」「キュプリン530」「ルシロン」といった商品も打ち出す。

〈吉野葛原料の和紙糸/河辺〉

 糸商の河辺(大和高田市)は、短繊維を主体とした高付加価値糸をアピールする。春夏では、ニット製品に麻のようなシャリ感をもたらす糸を提案する。「吉野葛」を原料に使った和紙と綿の混紡糸や擬麻加工を施した綿100%糸がある。

 秋冬向けでは収縮率40%という特殊なアクリルを混ぜたアクリル・綿混糸をアピールする。生地にすると軽くて、温かく、スエードのような手触りが得られる。それ以外にはセラミックを練り込んだ発熱機能糸も出展する。

〈麻の良さ訴求/風綿抑えたリネントップ/トスコ〉

 トスコの「北陸ヤーンフェア」出展は2回目となる。「前回は北陸産地になじみの薄い麻についての説明を主体に、原料と糸を出品した。今回は天然繊維の良さ、麻糸の風合いをより感じてもらうため、糸で70種ほどを提案する」と言う。昨年は色糸を出さなかったが、今回はリネン100%のトップ糸などカラーも訴求する。

 リネントップ「リビエラ」は15、26、36単。紡績工程で毛羽を抑えているため、風綿が少ないのも特徴。カラーは17~30色を展開する。フランスのノルマンディー地方の原料を使用。リネン原料のトレーサビリティー(追跡可能性)も明確にしている。「合繊の工場では天然繊維の風綿が問題だったが、この糸は毛羽を抑制しているため、使いやすい」と話す。

 麻はストレッチ性を欠いていたが、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維と混紡したタイプを出品する予定。風合いだけでなく、機能性も訴求していく。ナチュラルストレッチのある生地なども出品の準備を行っている。

 ラミーについても15種ほどの糸と生地を提案する。

 「麻糸(ラミー、リネン)は天然繊維のため、ロットによる品質の差が大きいが、当社は原料や糸での品質管理を行っており、安定した品質の糸を供給できる」と強みを説明する。

〈天然ライク糸を充実/カワボウテキスチャード〉

 合繊長繊維の糸加工メーカー、カワボウテキスチャード(岐阜県羽島市)はペットボトル再生長繊維を使ったファンシーヤーンなど全体テーマに沿ったエコロジー、サステイナビリティー(持続可能性)素材を提案するとともに、得意とする天然繊維ライク糸を引き続き充実した。

 綿、ウール、麻、シルクなどの天然繊維ライク糸は「超天然」とうたい展開するが、今回は綿ライク糸を拡充するともに、ウールライク糸「尾糸(BEAT)」でストレッチタイプを出品。

 さらに原着ポリエステル長繊維も展示する。

〈アパレル生産を変革/WGで持続可能なモノ作り/島精機製作所〉

 島精機製作所は最新鋭の「ホールガーメント」(WG)横編み機「MACH2XS103」、コンパクトタイプのWG横編み機「SWG061N2」、3Dデザインシステム「SDS―ONE APEX4」を提案する。アパレル生産を変革し、サステイナブル(持続可能な)モノ作りを実現するソリューションを紹介する。

 WG横編み機は無縫製で一体編成することで裁断ロスが発生しないことに加え、MACH2XS103は独自の2枚編み出し装置によって編成で発生する捨て編みをゼロにする。世界的に要求が高まるサステイナビリティー(持続可能性)を実現できる。

 1畳程度のスペースで生産が可能なことから、工場だけでなく百貨店など小売店舗にも導入できる。店舗で消費者がデザインなどを決定し、わずか2時間で製品を供給できる。3DデザインシステムのSDS―ONE APEX4と連携することで企画・デザイン提案から製品製造までをシームレスにつなぐ。受注と販売にリアルタイムで対応することでアパレル生産を変革する。

 SWG061N2は無縫製で手袋や靴下、ネクタイ、帽子、ニット小物などのほか、スポーツ用品やシューズ、インテリアも生産できる。こちらもWGの可能性を広げる機種として打ち出す。

〈「ボルテックス」の特徴打ち出す/村田機械〉

 村田機械は独自の渦流精紡機「ボルテックス」の特徴を打ち出すため、ボルテックスで生産した糸を紹介する。特殊な糸構造を持ち、毛羽が少なく抗ピリング性や吸水性が高い。生地にした際に独特のハリ・コシ感が生まれることも高い評価を得てきた。

 そのほか、加賀工場(石川県加賀市)のモノ作りや子会社の村田パーツ販売(京都市)によるアフターサービスをパネルで紹介する。カーボンナノチューブ紡績糸の開発事例や取り組みも紡績糸サンプルやポスターで紹介する。

〈デザインソフトで効率化/トヨシマビジネスシステム〉

 豊島子会社で繊維業界向けのシステム開発、販売を行うトヨシマビジネスシステム(名古屋市中区)は、デザインシミュレーションソフトウエア「4Dbox PLANS」をメインに出品する。

 前回展に続き2度目の出展。今回はシミュレーションデータを昇華転写プリンターやガーメントプリンターと連動させ、実際の製品サンプルに近い形で、シミュレーション作品ができる仕組みを訴求する。そのほか、糸・織物・ニット加工販売管理システム「Textile―Zone」も提案する。

〈最新リワインダーを実機出展/TMT神津〉

 TMT神津(兵庫県三田市)は最新鋭リワインダー「ワインディングマスター」1錘を実機出展する。TMT神津と親会社であるTMTマシナリーが培ったテークアップワインダーと高速延伸仮撚機の技術で実現した高機能を打ち出す。

 ワインディングマスターは多彩な糸種に対応した汎用性、独自の接圧機構によるソフト巻、精密トラバース制御による巻幅可変、独自の給糸機構など多くの特徴を持つ。コンパクトなデザインで1錘からの導入も可能な点なども打ち出す。

〈糸道最大手が継続出展/業界盛り上げる狙いも/湯浅糸道工業〉

 糸道の国内製造最大手、湯浅糸道工業(名古屋市天白区)は前回展に続き、2度目の「北陸ヤーンフェア」出展となる。今回展でも販売代理店2社が協力する。

 糸道は紡糸機、紡績機、撚糸機、織機、編み機などの繊維機械に不可欠な糸を通すための部品。その中でも、同社製品は高寿命、作業効率の向上など一貫生産による技術力に裏打ちされた信頼性・高品質が特徴で、「YUASA」ブランドの製品は国内外で高い評価を受ける。

 北陸ヤーンフェアへの継続出展は新規顧客の開拓だけでなく、既存顧客や出展者に製品提案するとともに「国内の繊維製造関連の展示会や北陸での展示会は他にはない。業界を盛り上げる意味もある」とする。

 今回展では昨秋、中国・上海で開催された繊維機械展「ITMAアジア+CITME」で発表した新商品などをメインに出品する。

 その一つがオイリングガイドで前回展は試作品を展示したが「量産化のめどをつけた」コストダウンバージョンを出品する。また、ソフト巻きの糸は最後にスナールが生じる場合がある。これを奇麗に解除できるアンチスナールテンサーなども訴求する。

 同社の2019年9月期は輸出がけん引し、好業績。中国販売も成約が進み、20年9月期も堅調に推移するとみている。

〈DISのシステムでIoT視野/伊藤忠システック〉

 伊藤忠システックは、同社が販売を担当するダイワボウ情報システム(DIS)のモニタリングシステムを提案する。織機のモニタリングとして実績豊富なシステムだが、近年は検反システムなどとの連動も可能になるなどバージョンアップが進んでいる実績などを紹介する。

 あらゆるものをインターネットでつなげるIoTの流れが世界的に加速している。その中で、メーカーや導入時期の異なる設備を一元的に管理できる可能性を視野に入れたシステムとして提案する。