繊維ニュース

不織布新書19秋(2)

2019年09月27日 (金曜日)

〈東レ/間もなく年商1千億円に到達/PPでアジアNO.1堅持〉

 東レは2019年度、現中期経営課題の最終年度を迎えている。不織布事業では繊維部門以外が展開するビジネスも含めたトータルの年商を1千億円に引き上げる拡大戦略を進めており、今年度末の達成に手応えを強めている。

 主力のポリプロピレン(PP)スパンボンドでは、この間、中国TPN、インドネシアTPJで新設備による生産に着手。昨年は韓国TAKで年産1万8千トンを稼働させており、世界3極における年産17万1千トン体制を構築した。

 今後も中国・仏山やインドでの設備投資を計画通りに進め、インドを稼働させる20年上半期には世界4極による年産20万9千トン体制に引き上げ、アジアナンバーワンの座を固める。

 滋賀事業場に導入した開発設備を駆使し次世代型の紙おむつ素材の開発にも取り組み、20年度中の販売を目指している。ポリ乳酸繊維による新素材開発も進行している。

 中国市場の失速で現在、紙おむつ市場からはかつての勢いが失われているものの、中国を中心とする東南アジアではプレミアムゾーンで需要増が続くとみており、20年度からの中期経営課題にアジアでの需要増を取り込んでいくための戦略を織り込む。

 短繊維不織布の原反販売にも意欲を示しており、ナイロンナノファイバーやポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維「トルコン」で吸音材、遮炎材などに向けた短繊維不織布の開発を強化。世界で唯一の長短総合不織布メーカーを目指した取り組みを加速する。

〈東洋紡/2新素材打ち出す/不織布拡大戦略部を設立〉

 東洋紡は年産1万2千~1万4千トン体制でポリエステルスパンボンドを主力用途の建材、自動車、土木資材に展開。この数年、フル操業を維持している。

 2019年度は先に開発した「コスモフレッシュNANO」の販促を重視しており、来年度からの本格販売を計画する。NANOは土木工事で発生した残土より流出する水から重金属イオンなどを吸着し土壌汚染を防止する土木資材。

 昨年11月、NETIS(新技術情報提供システム~公共工事等で活用する新技術をまとめたデータベース)に登録して以降、問い合わせが増えていると言う。

 製造条件の工夫などでナイロン並の柔らかさを持たせた新しい原反もラインアップし、自動車資材をターゲットとするスペックインを急いでいる。

 東洋紡はポリエステルのグローバルな市場は今後も年率5~6%で拡大していくとみており、年初から自動車資材をスリット、パンチングする加工拠点を北米に確保。ここを経由する加工品ビジネスに着手しており、海外展開にも力を入れスパンボンド事業の拡大に取り組んでいく。

 4月1日付で不織布拡大戦略部を設立。スパンボンドやAC事業で展開してきた不織布使いのフィルター、呉羽テックなどとの連携を本格化させ、新規商材の開発、新規ビジネスの掘り起しに総力を結集する。

〈ユニチカ 不織布事業部/スパンボンド海外で拡販/「コットエース」増設に意欲〉

 ユニチカ不織布事業部は2018年度、スパンボンドを展開する全ての用途で増販・増収を達成したものの、原燃料高騰の影響などで利益が伸び悩んだと言う。

 中期計画最終の19年度はタイの拠点、タスコとの連携を強化し海外での拡販を計画するとともに、湿潤養生シート「アクアパック」の市場浸透に取り組む。

 17年夏にタスコを年産4千トンから同1万トンに増設。現在、稼働率を70%前後まで引き上げてきており、20年度中にフル稼働させる方針。収益については、19年度末で黒字に浮上するとみている。

 タスコでは17年4月に設立した技術開発部が先に自動車向けの新しい商材を開発。吸音性能や樹脂並みの剛性を持たせることができたとしており、自動車の内装材、外装材向けに打ち出している。

 ユニチカは国内生産とタスコとを合わせた海外販売比率を18年度末で30%台後半に引き上げており、「いずれは50%超に乗せたい」と言う。

 綿のスパンレース「コットエース」では、コンクリートの高品質化、構造物の高寿命化に貢献する湿潤養生シート「アクアパック」の販促に重点化。ゼネコンなどへの売り込みを強化し市場に浸透させたい考えだ。制汗シート向けの販売がピークを迎える夏場に「需要に供給が追い付かなくなる」と言い、新設備の導入にも意欲を示している。

〈クラレクラフレックス/製法の複合で新原反を開発/「クラフレックス」を東南アジアに〉

 クラレクラフレックスは2018年度(12月期)から中期3カ年計画に取り組んでおり、19年7月から後半戦に突入している。折り返しとなる19年1~6月期では予算、前年実績を「ともにクリアした」。

 現在、メルトブロー不織布を現行の年産1800トンから同2700トンに増設する設備投資を進めており、来年の下半期に稼働させる。

 既存設備のある西条工場ではなく岡山工場に導入しており、岡山工場で生産するスパンレース不織布や「クラフレックス」と複合する多層構造品の開発を急ぎ新規用途の開拓を目指す。自動車用吸音材用途にも注目している。

 主力のクラフレックスでは、海外での普及・浸透を目指した取り組みを重視しており、海外展での売り込みを強化してきた結果、タイやインドネシア向けの販売が伸びている。

 カウンタークロスが安全・衛生に貢献することをアピールしながら拡販に取り組み、いずれはカウンタークロスの裁断、箱詰めなどを行う物流拠点を東南アジアのどこかに開設したいと言う。

 スチームジェット不織布「フェリベンディ」では、包帯向けの販売が順調。今後はスチームジェット単独で生産するだけでなく、乾式やメルトブローによる原反を加工するための工程としても活用。スチームジェットを複合した新しい原反の開発に取り組む。

〈三井化学/産業材向けを強化/衛生材料と並ぶ主力に〉

 三井化学は、産業材向け不織布の開発強化を図っている。2019年4月に産材開発室を立ち上げ、自動車から産業資材、フィルター関連まで幅広い用途で拡大を目指す。長期経営計画の着地となる25年度には、主力である衛生材料用途と並んで、不織布事業に大きく貢献する分野に育成する。

 スパンボンド不織布(SB)とメルトブロー不織布(MB)を中心に、衛生材料用途で培った技術とノウハウを生かして製品開発や用途開拓を進める。SBは極細繊維や中空構造技術を自動車吸音材などへ提案。MBはポリオレフィンの極細繊維を使った「シンテックスnano」などを高性能ろ材として提供する。

 自動車やろ過フィルター関連に加え、農業資材、医療、アクティブシニア向け商品、次世代のIC製品・IoT製品などにも目を向ける。不織布事業部は産業材について「ニッチマーケットが集積し、さまざまな領域・用途で成長が考えられる分野」と位置付け、同時に「変化も速く、スピード感のある商材開発が必要」と強調する。

 産業用向けの不織布の生産は、グループ会社であるサンレックス工業(三重県四日市市)がメインとなるが、将来的には海外の拠点での製造も視野に入れている。設備投資についても「研究開発と生産能力強化を目的に、必要に応じて順次実施」する。

〈ダイワボウポリテック/高付加価値化で成長ねらう/持続可能性がポイントに〉

 ダイワボウポリテックは、スパンレース不織布(SL)の拡販戦略として高付加価値化を加速する。主力用途の一つであるコスメティック分野の競争激化や海外メーカー品の台頭に対し、付加価値品の打ち出しで存在感を示す。サステイナビリティー(持続可能性)をポイントの一つにする。

 国内のSL市場は、フェースマスクをはじめとするコスメティック分野の需要が落ち着きを見せ、中国製品や台湾製品の流入も目立ってきた。全体として状況は厳しさを増しつつあるが、同社の2019年度(20年3月期)のSL販売は前年同期並みの水準で推移している。

 事業の今後の成長に向けて高付加価値戦略を加速するが、サステイナブル(持続可能な)商材の提案に焦点を当てる。グループのダイワボウレーヨンと協業し、水中で容易に崩壊するレーヨンショートカットファイバーを活用するほか、播磨工場(兵庫県播磨町)で作る生分解性を持つ合成樹脂も用いる。

 自社開発の合成樹脂から生産するわたは、SLに用いるほか、インドネシアの拠点であるダイワボウ・ノンウーブン・インドネシアのエアスルー不織布で展開する。コスメティック用途やお尻拭き用途などを想定し、早い段階で販売を始める。播磨工場内の播磨研究所を拠点にさまざまな合繊わたの開発を進める。

〈フロイデンベルグ・スパンウェブ・ジャパン/リサイクル打ち出す/シューズ・カーペットで拡販〉

 独フロイデンベルググループのフロイデンベルグ・スパンウェブ・ジャパン。同社はグループの台湾工場から輸入するポリエステルスパンボンドでカーペット基布、建材、フィルター、靴・スポーツシューズなどの用途をカバーしている。

 2018年度から中期3カ年計画に取り組んでおり、初年度は目標を超過達成。次年度となる19年度も今のところ「ほぼ予定通りに推移させている」と言う。

 19年度はリサイクルポリエステルによる原反の拡販を計画する。海外のスポーツシューズメーカー、アジアに生産拠点を構える欧米系のカーペットメーカーから引き合いを集めているという。

 同グループは現在、台湾工場の増設を進めており、来年4月には現行の年産2万トンを同3万1千トンへと増強する。台湾では端材やB反をリサイクルポリエステル用の原料に再生する設備も構えている。

 増設後の営業体制を拡充するため、7月から台湾に駐在員を1人派遣した。東南アジアに進出するカーペット、建材、靴、フィルターなどの顧客に台湾工場から供給するサプライチェーンの開拓・拡大に取り組んでいく。

 増設後に生じる設備面の余裕を生かし、「新商品開発を改めて強化する」と言い、新規用途開拓のためにスパンボンドと他素材とを貼り合わせた多層構造品の開発を急ぐ。

〈レンチンググループ/「ヴェオセル」に新認証制度/業界初の取り組み〉

 レンチンググループは、特殊不織布原料の「ヴェオセル」に新たな認証制度を導入した。エココンシャスなブランドとして消費者からの信用を高めることを目的としたもの。ヴェオセルロゴが表示可能なのは100%セルロース系もしくは生分解性繊維素材から作られたパーソナルケア製品とビューティー製品に限る。

 信頼できるラベルとして繊維原料ブランドを確立するための取り組みで、業界初。消費者が拭き取りシートや流せるお尻拭きシート、フェーシャルシートマスクをはじめとする不織布のパーソナルケア製品やビューティー製品を購入する際に、その製品が持続可能なものであるかどうかが判別しやすくなる。

 欧州連合(EU)の“使い捨てプラスチック指令”では、欧州の海岸で見つかる最も汚染度の高い10品目の一つとして拭き取りシートを挙げており、シートの中のプラスチック素材の有無や廃棄オプションを製品の包装に明記することの意味は大きいと言える。

 ヴェオセルブランドの約束は、「植物由来」「環境に優しい生産」「生分解性」という三つの柱に基づき、再生可能な原料である木材から作られ、環境に配慮したプロセスで製造されている。この繊維は完全な生分解性で、安全かつ迅速に分解され、廃棄後に自然に返る。