素材開発最前線2020 紡績のイチ押し機能加工(1)/クラボウ/工業洗濯50回でも機能維持

2020年04月14日 (火曜日)

 近年、一段とニーズが高まる機能加工。サステイナビリティー(持続可能性)や衛生・安全といった要素への要求も強まった。新型コロナウイルス拡大による新たな社会的要請も出てきた。紡績のイチ押し機能加工を連載で紹介する。

 クラボウは現在、ユニフォーム分野を中心にエンドユーザーに対する直接ヒアリングなどによるニーズの掘り起こしを進めている。そこから既存の消臭加工を上回る“超消臭”機能を実現した生地「ストロングデオ」と業界最高水準の防汚機能を持つ加工生地「ソイルスウィープ」を開発した。

 ストロングデオは、汗臭(アンモニア、酢酸、イソ吉草酸)に対して高い消臭機能を付与した加工生地。既存の消臭加工と比較して高い性能を発揮することを確認している。2019年から本格的に販売を開始し、ワークウエアや電動ファン付きウエア、白衣などに提案している。企業別注作業服などで採用が始まった。

 近年、作業服用途では工業洗濯への対応が求められるケースが多い。このためこのほど工業洗濯50回後も機能維持を確認したハイグレードタイプも開発し、繊維評価技術協議会が認証する「SEK消臭加工マーク」も取得した。さらに加齢臭の原因物質であるノネナールへの消臭機能を持ったタイプの開発も進めている。ラインアップの拡充で幅広い用途への提案を進める。

 一方、ソイルスウィープもワークウエアのほかサービスユニフォームなどからの引き合いが増えている。同社ではユーザーごとに個別の汚れに対応して加工内容を調整するなど機能のカスタマイズに取り組む。こちらも企業別注ユニフォームで採用が始まった。

 もう一つ重点提案するのが抗菌・抗ウイルス機能繊維加工技術「クレンゼ」。新型コロナ感染拡大を受けて問い合わせが急増している。高い抗菌・抗ウイルス機能と安全性を両立した加工技術として国内だけでなく海外からも旺盛な引き合いがある。

 ユニフォームに加えて、マスク、カジュアル、スポーツ・アウトドア、インテリア、雑貨など幅広い用途に提案する。生活空間全体の衛生に貢献することで、現在の社会的要請に応えることを目指す。