シキボウ「フルテクト」/コロナへの抗ウイルス性確認/加工で製品性能向上を目指す

2020年04月14日 (火曜日)

 シキボウはこのほど、同社の抗ウイルス加工「フルテクト」がコロナウイルスに対する抗ウイルス効果を持つことを確認した。同社はコロナウイルスの亜種である新型コロナウイルスに対しても同様の効果があると推定している。

 フルテクトは、同社が2006年から販売している抗ウイルス機能加工。繊維に加工した抗ウイルス剤が、繊維上に付着したウイルスのエンベロープ(ウイルスの外側にある膜状構造)に作用し、感染力を失わせる仕組み。これまでインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス効果を確認していた。

 このほど特定非営利活動法人バイオメディカルサイエンス研究会にフルテクト加工のコロナウイルスに対する抗ウイルス性能の試験を依頼した。フルテクト加工を施したレーヨン100%不織布を用い、ウイルス種「コロナウイルス(ヒト)〔ヒューマン・コロナウイルス229E〕(ATCC VR―740)」を対象に試験した結果、繊維上のコロナウイルスに対する抗ウイルス効果を確認した。

 今回、試験に使用したコロナウイルス(ヒト)は、従来から研究機関で保有されているウイルスであり、現在問題となっている新型コロナウイルスではない。ただ、新型コロナウイルスは通常のコロナウイルスの亜種であり、エンベロープも持つ構造のウイルスでもある。このためフルテクトは新型コロナウイルスに対しても同様の抗ウイルス効果が期待できると推定される。

 今回の結果を受け、フルテクト加工を防護服やマスク、医療従事者向け衣料に使われる不織布に施し、製品の性能向上を目指す。