ユニチカ/フィルム・樹脂を内外で拡大/機能資材で相互乗り入れ強化

2020年04月16日 (木曜日)

 ユニチカは4月から新しい中期経営3カ年計画をスタートさせている。前中計に掲げたグローバル、グロース、ガバナンスという三つのGを引き続き推進するとともに、同社の強みに位置付けるフィルム、樹脂で事業拡大に取り組む。環境配慮型素材の拡販にも意欲を示しており、繊維ではユニチカトレーディングを通じ再生ポリエステル「エコフレンドリー」を打ち出す。

 3月までの前中計で134億円の営業利益を計画していたが、宇治事業所での火災事故やフィルム、樹脂、スパンボンドを計画通りに伸ばせなかったことが影響し、大幅な未達にとどまると見通している。

 この間、フィルムのインドネシア・ユニチカエンブレムアジアで1万トンを、スパンボンドのタイ・タスコで6千トンを増設しており、小規模増産を実施したポリアリレート樹脂「Uポリマー」も含めて、新中計で増産効果を発現させ、業績の反転につなげていく。

 同社は1日付で組織改正を実施。産業繊維事業部とACF、ガラス繊維、ガラスビーズ、不織布の4事業部とを統合し新たに機能資材事業本部を発足させ、高分子事業本部との2本部体制に再編した。

 機能資材では、「強みのある事業を底堅く伸ばす」(上埜修司社長)とともに、5事業部間の新規開発、販路開拓などでの連携、乗り入れを促進し早急に相乗効果を発現させたいとしている。

 同社の海外売上高比率は24~25%にとどまっており、今後はグローバルに戦っていけるというナイロンフィルム、Uポリマー、スパンボンド、産業資材向け複合繊維の販売を伸ばし、海外比率を30%台に乗せる。

 同社は繊維でエコフレンドリーの拡販に力を入れているほか、フィルムでもケミカルリサイクルによる商材などをラインアップしており、グループで展開する環境配慮型の商品を精査し、SDGs(持続可能な開発目標)が定める2030年のゴールに向けて「当社がどう貢献できるのかを表明する」ための準備を進めている。