東洋紡「ココミ」/さまざまな体形を想定/標準シリーズ打ち出す

2020年04月27日 (月曜日)

 東洋紡は導電フイルム「ココミ」を素材とする、さまざまな体形を想定した「スマートセンシングウェア」標準シリーズの拡販に取り組むとともに、犬や猫のようなペットを対象とする新規ビジネスの具体化を目指す。

 同社は動物向けの販売を先行させており、16年に動物向けセンサーソフトウエアを展開するアニコール(横浜市)が競走馬の心拍数測定用腹帯カバーにココミを採用した。

 ココミは厚さが約0・3ミリのフィルム状導電素材。優れた導電性能、曲面にもフィットするフレキシビリティーが特徴。時速70㌔にも達する競走馬の場合、従来の電極では剥がれてしまい正確なデータを測定できなかったが、ココミを装着すれば生体情報を安定的に測定できる。

 その後、17年にはユニオンツール(東京都品川区)と長距離ドライバーの居眠り運転検知システムの共同開発に着手。18年には東海大学とスポーツ分野での生体情報計測用ウエア「スマートセンシングウェア」に関する共同研究契約を締結している。

 同社はウエアラブルについて「サービス自体が開発途上段階にある」と見ており、20年度は心拍計測用のスマートセンシングウェア標準シリーズの拡販を進めるとともに、ペットやスポーツをターゲットとする取り組みを前進させたい考えだ。

 タンクトップ、Vネック、スリーブレス、シームレスブラの4タイプで標準シリーズを構成。着用者のさまざまな体形を想定し、ゆったりとした着用感を持たせるとともに電極が装着されている部分だけを絞れる仕様とした。

 総合研究所が中心となってペットの心拍数測定で何ができるのかを検討し始めており、ペットビジネスを展開する企業との取り組みの具体化を急ぐ。

 東海大学とは、柔道、水泳、陸上(長距離)、体操などの種目向けで開発を進めており、水泳用のウエアラブルが先行する見通し。