コロナ禍の産地4~6月(5)/三備/来月以降の見通し不透明

2020年04月27日 (月曜日)

 デニムの産地である三備地区は、市況の悪さに加え、デニムのダウントレンドから全体的に受注の低迷が続いていた。そのような中で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もじわじわと出始めている。現時点で生産量を大きく落としている企業は少ないが、5月以降、影響が顕在化してくることが予想される。

 織布企業では「変わらず発注は来ており、生産は落ち込んでいない」(日本綿布)、「残存オーダーで工場を回している」(篠原テキスタイル)といった声が多く、まだそれほど影響は大きくない。ただ、「一部でキャンセルも出ている」(ショーワ)など、キャンセルや後ろ倒しが発生するケースも出始めている。

 また、新型コロナの影響が深刻な欧米向けのビジネスが滞っているという声も聞かれ、クロキは「ブランドによっては企画や販売などがストップしているところもある」と話す。デニム染色加工の坂本デニムも、今年2月にイタリア・ミラノで開かれた国際服地見本市「ミラノ・ウニカ」に出展したものの「話がストップしている」と言う。

 デニム製造最大手のカイハラは「後ろ倒しに加え、契約済みのものにまで値引き要請が来ている」と指摘。輸出や海外向けの製品OEMビジネスも、欧米政府の緊急事態宣言によって、販売先のアパレル店舗が閉鎖を余儀なくされたことで「4月に入って引き合いが全くなくなった」。資材調達など、生産面での影響はないが、来月以降は工場の生産調整を迫られる。