クラボウ/新型コロナ下で商談推進/従業員の安全・雇用を最優先

2020年05月14日 (木曜日)

 クラボウは新型コロナウイルス感染拡大の収束が見えない中で今期(2021年3月期)は従業員の安全と雇用を最優先しながら、可能な限り商談を推進する方法を模索する。繊維事業も抗ウイルス加工素材など受注が急増している商品の販売拡大を進めると同時に、“アフター・コロナ”を見据えたビジネスモデルの構築に取り組む。

 同社は21年3月期の業績予想を新型コロナ感染拡大の影響から現時点で合理的な算定が困難なため未定とした。外出自粛による消費停滞などで経済の先行きも見えない状況が続く。こうした中、藤田晴哉社長は「まずは従業員とその家族の安全を最優先する」として感染防止策の徹底に取り組む。

 その上で、感染防止のためのソーシャルディスタンス(社会的距離)の中でも商談を進めるためにウェブ会議システムなどを活用した事業運営を進め、国内外の工場でも需要回復期に向けた生産に取り組む。ただ、化成品事業の自動車関連商品は自動車メーカーの生産動向によっては一時的に生産停止や工場の休業もあり得るとし、「その場合は雇用調整助成金など政府の制度を活用し、雇用の維持に努める」と強調した。

 繊維事業もウェブ会議による商談推進に加え、抗菌・抗ウイルス機能繊維加工技術「クレンゼ」など受注が急増している商品の販売を拡大させ、さらに新型コロナ問題収束後を見据えたビジネスモデルの構築を模索する。スマートウエアによる作業者のリスク管理システム「スマートフィット・フォー・ワーク」や裁断くずを原料に再利用する「ループラス」などの拡大を進め、「中期経営計画最終年度となる22年3月期には繊維事業を黒字浮上させる」ことを目指す。