ピエクレックス/「でんき」「せんい」融合/PLAの圧電性を利用

2020年06月08日 (月曜日)

 帝人フロンティアと村田製作所は、ポリ乳酸(PLA)による圧電繊維「ピエクレックス」を共同開発し、合弁で設立したピエクレックス社で展開していく(一部既報)。「でんき」の村田製作所と「せんい」の帝人フロンティアの強みを融合して「電気の繊維」の開発を加速し、25年度に売上高100億円を目指す。

 PLAには圧電性があり、両社はこれまでセンサーに応用する開発を続けてきた。村田製作所は圧電フィルム、帝人フロンティアは圧電組ひもセンサーを展開している。共同開発に至ったのは、市場の変化が背景の一つにある。電子部品はスマートフォンやウエアラブル機器で市場が拡大しているが、近年は軽量化、小型化とともに、フレキシブルへの要求が高まっている。圧電材料にはこれまでセラミックスが多く使われていたが、フレキシブルの面で高分子のPLAが注目されるとともに、繊維の技術も生きる。

 ピエクレックス社では、村田製作所が持つ電子関連の開発力や極小製品の電気的評価・シミュレーション技術、帝人フロンティアが持つ繊維の原料から最終製品までの開発技術力、グローバルサプライチェーン、衣料繊維から産業繊維までの幅広い販売網などを融合して開発を加速する。村田製作所からピエクレックス社長に就いた玉倉大次氏は「両社の技術を積極的に持ち寄ることの効果は既に出ている」とする。

 PLAの圧電性を最大限に発揮する繊維設計・構造体で圧電繊維「ピエクレックス」を開発し、まずは抗菌素材として展開していく。同社の生地試験では、一般的なPLAの伸縮抗菌性は0・01だが、ピエクレックスは4・31(洗濯50回後で5・98)の数値を確認したという(黄色ブドウ球菌、2・0以上で抗菌効果)。

 金属や有機剤を使用せず、繊維が動くことで発生する電圧・電場で抗菌性能を発揮するので、効果は半永久的に持続するという。