繊維ニュース

クローズアップ/旭化成 ベンベルグ事業部長 前田 栄作 氏/90周年にらみ布石投じる

2020年06月12日 (金曜日)

 繊維・ファッション業界でサステイナビリティー(持続可能性)が注目を集めるに伴い年々、エコ素材としての存在感が高まっている旭化成の「ベンベルグ」。来年で90周年を迎えるに当たり、今年はアフターコロナを見据えたさまざまな布石を考えている。4月1日付で就任した前田栄作ベンベルグ事業部長に当面の戦略、抱負を聞いた。

  ――2019年度の状況は。

 昨年9月、宮城県延岡市で発生した竜巻被害の影響で一部の工程が減産となり、全ての引き合いに応えることができませんでした。

  ――サステイナブル(持続可能な)素材として引き合いを集めている。

 世界規模でサステイナブル社会の実現に向けた変革が求められる中、ファッション業界においても、環境負荷が低く透明性の高い生産プロセスや、地球に優しくトレーサビリティー(追跡可能性)の高い素材を通じたサーキュラーエコノミーの実現を加速していくことが必須になっていると感じています。われわれもその流れに乗り遅れないように戦略を立てる必要があります。

 これまでプルミエール・ヴィジョンやインターテキスタイル上海で地道にPRを続けてきた成果が出つつあります。特に、GRS認証を取得していることが欧州連合(EU)の顧客に好感をもって受け入れられており現在、国内外においてテキスタイルでGRS認証を取得する動きを進めています。

  ――昨年は中国でプロモーションを実施した。

 大手アパレル歌力思(ガリス)とのコラボレーションを通じ、百貨店で裏地の店頭プロモーションを行いました。それ以降、引き合いが増えてきています。機会があれば、またやろうと考えています。

  ――ベンリーゼ営業部が事業部に移管された。

 新型コロナで中国勢のスパンレースがマスク用途に振り向けられており、その分、「ベンリーゼ」がフェースマスクの基布としての引き合いを集め、除菌ワイパー用途も堅調です。昨年はしんどかったのですが現在は順調で、ベンベルグ事業をしっかり下支えしてくれています。

  ――20年度をどう見ている。

 まったく先が読めないというのが実情です。ベンベルグは来年で90周年を迎えます。経済活動は未だ本格化していませんが、全ての用途で頑張らなければならないと思っています。90周年に向けた新しい開発、新しい企画提案が何よりも重要です。20年度でしっかり足元を固め、アフターコロナを迎える21年度にはビフォーコロナの状態に回復させなければなりません。