クラボウ「ループラス」/設備導入で生産本格化/デニム全面切り替え構想も

2020年06月23日 (火曜日)

 クラボウは縫製工程で発生する裁断くずを服や雑貨・紙製品などにアップサイクルする「ループラス」の生産を本格化させている。2019年末に紡織の安城工場(愛知県安城工場)にループラスのインディゴ染め品専用設備を導入した。エドウインとの取り組みが加速すると同時に、同社では「クラボウデニム」を全てループラスに切り替える構想も進む。

 ループラスはアパレルや縫製工場と連携し、裁断くずを反毛・紡績した糸を衣料品や雑貨に再生する取り組み。昨年にはエドウインと連携し、デニムでの取り組みが始まった。エドウインが自家の縫製工場で発生する裁断くずを供給し、クラボウがデニムに再生する。これを活用して再びエドウインがジーンズとして商品化する。

 ループラスの反毛・紡績工程はこれまでベトナムの協力工場で行っていたが、デニムはインディゴ染料を使用しているため専用ラインが必要となる。このためクラボウは昨年末に安城工場にループラスのインディゴ染め品専用設備を導入した。

 ループラスのデニムはエドウインに供給するほか、自社での輸出にも活用する。世界的にサステイナビリティー(持続可能性)への要求が高まる中、リサイクル・アップサイクル製品への注目は高い。このため数年をかけてクラボウデニムを全てループラスによるデニムに切り替える構想も進む。

 産地の織布企業にも声を掛けており、将来的にはループラスの糸を産地企業に販売することも検討する。安城工場には島精機製作所のホールガーメント横編み機も設置していることから、ループラスの糸による製品企画の開発にも取り組む。

 トレーサビリティー(追跡可能性)も重視しており、再生・製造工程の動画配信も始めた。パンフレットや下げ札にQRコードを記載し、そこからスマートフォンやタブレットで動画を見ることができる。こうした取り組みでループラスの“見える化”に取り組む。