特集 アパレル総合20秋冬(2)/アパレル総合20秋冬~企画&トレンド~婦人服編

2020年06月23日 (火曜日)

〈イトキン「ジャンニ ロ ジュディチェ」/1枚着でスタイリング〉

 イトキンの「ジャンニ ロ ジュディチェ」はテレワークを意識した企画として、「ワンピース、チュニックといった1枚着でのスタイリング提案」と「ネックレス、ストールの雑貨提案」を行う。

 20秋冬はまだ新型コロナウイルスの影響が残り、「消費者の購買意欲が盛り上がらず、価格に対しても敏感になる」と予想。このため、秋の立ち上がりはワンピース、チュニックを意識したスタイリングからスタートすることで、テレワーク需要に対応する。チュニック(ポリエステル100%)で2万5千円。

 アウターに関しても、ニットやジャージー素材を使用した中間アウターの提案に力を入れるという。ウール52%・コットン43%・ナイロン4%・ポリウレタン1%の中間アウターは2万9千円。

 19秋冬は暖冬や消費増税の影響もあり、各社苦戦した。20春夏は新型コロナの影響で、百貨店などが4~5月に休業、春夏在庫が膨らんでいる。

 同ブランドもこうした背景から20秋冬の仕入れは前年の80%程度の計画となっている。

〈三陽商会「マッキントッシュ ロンドン」/軽衣料アイテム拡大〉

 三陽商会の「マッキントッシュ ロンドン」婦人服は、20秋冬のテーマを「ブルジョアシック」とした。クラシック回帰の中で、首周りがフリルのシルクワンピース、キュロットパンツ、ボータイブラウスなどを提案する。

 残暑や暖冬を想定し、秋冬は中間アウター(ニットアウター)を強化する。月別に主軸となるニットアウターを企画。軽いウール・アクリルのコート、ホールガーメントのロングニットカーディガン、フワフワモコモコのニットアウター、ループヤーンのコートなど。

 マルチウエイやレイヤリング機能を付加したコートの提案も行う。気温やシーンによって、1着でもフレキシブルに対応できる機能性のあるコートだ。

 ストレッチや撥水(はっすい)機能がある3ウエーコートは旅行にも便利である。ダウン(シンダウン)とエコファーのジレを組み合わせたものも打ち出す。

 軽衣料アイテムも拡大し、ブラウス、ニットを中心に軽衣料構成比は65%(前年47%)まで拡大、暖冬や在宅勤務に対応する。

〈ルック「スキャパ」/イングリッシュガーデン〉

 ルックの「スキャパ」の20秋冬のテーマは「イングリッシュガーデン」。英国にある庭園(シシングハースト キャッスル ガーデン)からインスピレーションを得たフラワーモチーフを使ったスタイリングを提案する。

 ジャケットのスタイリングではジャージーからコーデュロイ、ツイードへと素材を変化させながら、プリントや刺しゅう使いのスカートとのコーディネートをマンスリーで提案する。

 暖冬やテレワークなどを意識したアイテムとして、ジャージーやニット素材で軽く羽織る感覚の商品バリエーションが充実。着心地の良さとちょっとしたきちんと感が特徴である。

 アウターでは、ダウンや中わたを強化する。軽さ、薄さ、着心地を意識した着丈、デザインにバリエーションを付けてラインアップする。10~11月のフェアは、英国のインポート素材を中心としたアイテムを展開。パッチワークテクニックのツイードジャケットやスカート、フェアアイル柄やケーブル編みのニットなどが登場する。

〈オンワード樫山「23区」/カンクリーニ社と協業〉

 オンワード樫山の「23区」は20秋冬に、イタリア・カンクリーニ社の素材を使った綿ブラウスシリーズを展開する。秋冬は柔らかい原綿を使ったツイル素材を協業で開発した。シワが鋭角に入りづらく、適度にハリ感のある素材。上質綿の程よい肌触りとシルエットが奇麗に出るハリ感を両立した。同社の素材は春夏でも使用。白とネービーの無地により、シンプルで、クリーンなコレクションだった。

 サステイナブル(持続可能な)素材ではイタリア・ボットジョゼッペ社のサステイナブルウールを使ったニットカーディガン、インナー企画を主力に提案する。

 コロナによる衣料品消費の変化については、「購買意欲は下がり、価格にも敏感になる。買う以上は、長く着られるものをという意識が強くなるのではないか」とみる。

 テレワーク対応では、「家中を考えると、パンツスタイルが主流になると思われる。着心地は楽だが、奇麗に見える2ウエーストレッチの美シルエットパンツ、奇麗に見えて着心地のよいブラウスなどを強化する」という。

〈フランドル「スーペリアクローゼット」/「お家時間」の企画も〉

 在宅勤務がある程度定着しそうだ。フランドルは「お家時間」の企画を20秋冬に提案する。カットソー(丸編み製品)やニットのツーピースを中心に、家でも快適、かつラグジュアリーなアイテムである。「コロナの影響で購買意欲は下がる。しかし、価値があれば、価格に対する抵抗感はない」とみる。

 同社の「スーペリアクローゼット」では、ハリコシの強いメリノウールを尾州で織り上げたガンクラブチェック柄のジャケットを提案する。価格は4万6千円。「上着の前打ち合わせが深く重なる王道のダブル・ブレストで、マスキュリンに仕立てた。ベルトでウエストマークすることで、今年らしくエレガントな印象になる」商品である。

 素材も環境を配慮したオゾン防縮加工素材を使用。こうしたサステイナブル(持続可能な)素材への取り組みは、再生繊維(キュプラ・トリアセテート)の積極活用や、リサイクル素材の使用などでも進み、今後も増やしていく方針。買い物袋もエコ素材に変更する予定という。