ユニチカ 「コットエース」/再び成長路線に/夏場を見据え作りだめ

2020年06月25日 (木曜日)

 ユニチカは綿100%のスパンレース「コットエース」で、2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い医療現場に供給するアイソレーションガウンや制汗シートなどの拡販によって「2桁%の販売増を目指したい」(吉村哲也上席執行役員機能資材事業副本部長兼不織布事業部長)との意欲を示している。

 同社は年産5千トン体制でコットエースを展開している。15年度以降、4年連続で好業績を確保してきたが、19年度はインバウンド需要の減退などで販売量は前年を多少、下回ったと言う。

 20年度は、新型コロナ禍でアイソレーションガウン向けの販売増を見込めるほか、制汗シート、汗拭きシートといったコスメティック関連用途向けの拡販を通じ、再びコットエース事業を成長軌道へ回帰させられるとの手応えを示している。

 例年、猛暑によって制汗シートなどに向けた販売がピークを迎える夏場、需要に供給が追い付かなくなる局面に見舞われてきた。20年度はユーザーとの連携を通じ事前の作り込みを実施することで夏場のピークを乗り切りたい考えだ。

 20年度、重視するのはコンクリートの高品質化、構造物の長寿命化に資するというコンクリート湿潤養生シート「アクアパック」の市場浸透。

 保水部のコットンスパンレース・コットエースに非透水性ポリエステルフィルムを張り合わせた2層構造品でアクアパックを開発した。

 コットエースにケイ酸塩を含む水溶液が含浸させてあり、コットエースに水を染み込ませてコンクリートに貼りつけるだけで湿潤養生を行える。

 養生が完了するまで水分を補充する手間を省ける(=人出がかからない)、現場打ちコンクリートでも水中養生と同等の養生が可能、繰り返しての使用が可能――などもアクアパックの特徴。

 スパンボンド部門が長年かけて開拓してきた土木資材の商流をフル活用しアクアパックの販促に取り組んでおり、「全国のほとんどの業者から引き合いを集めている」としている。

 一般コンクリート構造物(垂直面)に使われている養生シートの市場規模をユニチカは年間数10万平方㍍とみており、アクアパックの拡販で5年後に国内シェア3割を目指す。