村田製作所と帝人フロンティア/電気の力で抗菌性能/両社で合弁を設立

2020年06月05日 (金曜日)

 村田製作所と帝人フロンティアは、力が加わることで電気エネルギーを生み出して抗菌性能を発揮する圧電繊維「ピエクレックス」を共同開発した。原料は植物由来のポリ乳酸(PLA)。4月1日付で設立した合弁会社、ピエクレックス(滋賀県野洲市、玉倉大次社長)で展開していく。

 圧電繊維「ピエクレックス」は、村田製作所が電子部品で培ってきた圧電技術と、帝人フロンティアの繊維技術を組み合わせて開発した。PLAが持つ圧電性を最大限に発揮する繊維設計と構造体を開発することで、薬剤を使用せず、繊維や生地が伸縮することで電気が発生して抗菌効果を発揮する。まずは靴下やコンプレッションウエア、肌着などの用途に展開し、紙おむつやマスクなど衛生材にも広げていく。

 設立した新会社は資本金1億円で、出資比率は村田製作所51%、帝人フロンティア49%。ファブレスで、研究・開発やブランディングを主とし、繊維の製造は帝人フロンティアの設備を活用する。

 2020年度は、「ピエクレックス」ブランドの第1弾とし、「抗菌剤を使用しない抗菌繊維」として国内アパレルに展開していく。抗菌性のさらなる向上や抗ウイルス効果の検証も進める。将来的には抗菌以外の機能やグローバル展開にも取り組む。25年度に売上高100億円を目指す。

 村田製作所の村田恒夫会長兼社長は「ピエクレックスで開発する繊維は、当社がこれまでSAWフィルタ、振動子、センサなどで培ってきた圧電技術の知見を生かしている。これまで主に電子機器の分野だったが、帝人フロンティアの技術と組み合わせることで、繊維の分野における新たな価値創造に挑戦できることをうれしく思う」、帝人フロンティアの日光信二代表取締役社長執行役員は「当社が培ってきたポリマー・製糸技術と、村田製作所の圧電技術を融合させた『ピエクレックス』が、持続可能な未来の生活には欠かせない画期的な繊維になると信じている」と話した。