産資・不織布通信(41)/ユニチカ「コットエース」/「アクアパック」の浸透目指す

2020年07月06日 (月曜日)

 ユニチカは綿100%のスパンレース「コットエース」を年産5千トン体制で展開している。2015年度以降、好調を続けており、「4年連続で販売量を大幅に伸ばしてきた」(吉村哲也上席執行役員機能資材事業副本部長兼不織布事業部長)と言う。

 ところが、19年度はインバウンド需要の冷え込み、夏場に暑くなるタイミングが遅かったため、制汗シート向けの販売が伸び悩み、コットエースの販売量は久々の前年割れにとどまった。

 しかし、20年度は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い医療現場に供給するアイソレーションガウンや制汗シート、汗拭きシートなどの拡販を通じ、「2桁%の販売増へと転じたい」との意欲を示している。

 コットエース事業を再び成長路線に回帰させるための鍵をアイソレーションガウン向けの販売が握っている。

 昨年はアイソレーションガウン向けの販売がなかったため、今年は全てが純増分として業績に寄与してくる。同社は既に病院などの医療機関に400万着を供給することを表明している。

 例年、猛暑によって制汗シートや汗拭きシート向けの販売が夏場にピークを迎えるという。過去に何度か需要に供給が追い付かなくなる局面を強いられてきたため、20年度はユーザーとの緊密な話し込みを通じ事前の作り込みを実施することで「夏場のピークを乗り切りたい」としている。

 もう一つ重視しているのが、コンクリートの高品質化、構造物の長寿命化に資するというコンクリート湿潤養生シート「アクアパック」の市場浸透。

 保水部分のコットンスパンレース・コットエースに非透水性ポリエステルフィルムを貼り合わせた2層構造を持たせたアクアパックを開発した。

 ケイ酸塩を含む水溶液をコットエースに含浸させてある。このため、コットエースに水を染み込ませコンクリートに貼り付けるだけで湿潤養生を行える。

 養生が完了するまで水分を補充する手間がかからない、現場打ちコンクリートでも水中養生と同等の養生が可能、繰り返しての使用が可能――などもアクアパックの強みといえる。

 スパンボンド部門が長年かけて展開してきた土木資材の商流をフルに活用した営業活動を強化しアクアパックの販促に取り組み、「全国のほとんどの業者から引き合いを集めている」と言う。

 ユニチカによると、一般コンクリート構造物(垂直面)に使われている養生シートの市場規模は年間数十万平方㍍。アクアパックの拡販で5年後に国内シェア3割の獲得を目指す。