ニイハオ!/帝人商事〈上海〉董事長・総経理に就いた治田 兼一 氏/コロナ後も順調に業務推進

2020年07月31日 (金曜日)

 昨年4月、帝人商事〈上海〉の副総経理として上海に赴任し、1年後に董事長に就いた。「この1年は(これまで担当したことがない)産業資材を中心に見てきた」。新型コロナウイルス禍の影響で前任者からの引継ぎもままならなかったが、1年間の“助走期間”があったことで、順調にバトンを受け取ることができた。

 「新型コロナウイルスは、今までの仕事のやり方を変えるきっかけを作ってくれた」と話す。企業はIT化やテレワークなど、「5~10年掛けてゆっくりやっていくはずだったことに今取り組むことを求められている」が、「昨年導入した業務管理システムが威力を発揮し、(新型コロナ後も)業務を滞らせることなく進めることができた」と言う。

 事業への影響は大きい。衣料繊維は6月までは健闘したが、これは2、3月に滞った出荷が動いたため。コロナの影響が本格化するのはこれからだ。「8~11月が特に厳しくなる。アパレル各社は21春夏物まで生産を抑えるとみられ、2019年水準に戻るのは1年以上かかるかもしれない」と見る。

 そのため、「ソロテックス」などの機能素材や、相対的に堅調な国内スポーツブランド向けに注力し、落ち込みに歯止めをかけたい考えだ。

 一方、もう一つの事業の柱である産業資材の重要性が増している。「エアバッグ基布など自動車関係の販売は急速に戻ってきている。年間を通じてそれほど落ちないだろう」。そのため、産業資材にさらに力を入れていく。

 帝人商事に入社後しばらくは、綿製生地の販売を担当したが、その後は一貫して衣料製品の中国やASEAN地域での生産に携わった。中国とのかかわりは長い。1993~99年の香港駐在では、広東省の縫製工場に足しげく通い、製品事業の拡大に取り組んだ。

 「メインランド(中国本土)での駐在を一度経験したかった。今回良いチャンスをもらった」と話す。最大のミッションは、現地化の一層の推進。人材教育に力を入れ、「現地の人たちの会社にしていく」と言う。(上海支局)

 はるた・けんいち 1983年関西学院大学商学部卒、帝人商事入社。テキスタイル部テキスタイル第3課を経て、93年10月帝人商事香港に出向。2000年4月帝人商事輸入製品部第3課課長。06年4月NI帝人商事大阪衣料第二部部長。11年12月NI帝人商事香港社長などを経て、19年4月帝人商事〈上海〉副総経理。20年4月帝人フロンティア執行役員兼帝人商事〈上海〉董事長・総経理。59歳。趣味は海釣りとゴルフ。