特集 安心・安全(7)/検査機関/信頼性を支える

2020年08月11日 (火曜日)

〈カケン/各種の防護服試験に対応〉

 カケンテストセンター(カケン)は昨年、防護手袋の耐切創性(クープテスト)の試験を始めた。これは刃物と生地下の導電ゴムの間で、電気が導電することで切創性を確認する試験。これまで国内で試験できなかったが「導入以来、依頼は多い。ホームセンターやスーパーのバックヤードなどユーザーの裾野は広い」と言う。

 防護服には化学的な試験のほか、物理的(切創、突き刺し、摩耗など)なものや、熱的(難燃、火炎暴露、放射熱暴露など)な試験がある。難燃作業服の新しいJIS規格も2018年4月に制定され、材料の性能評価、製品のデザイン性(対象物質に対して防護ができるデザイン)が要求されている。市場では規格に基づいた服に置き換わっている。

 JIS8118(静電気帯電防止作業服)に基づく試験も安定的にある。最近は新型コロナウイルス禍で「化学的なものやウイルスバリア性などの問い合わせが多い」と、さまざまな防護服に対応。耐熱に高視認、制電といった複合的な機能を求める商品開発もあり、試験も複合的になっている。

 豪雨被害も顕著だ。レインウエアの防護服の規格は欧州規格のENにあるが、これをベースにしたISO化の動きもあるという。

〈QTEC/実績、知見生かして支援〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)の福井試験センターは、カーテンの機能性試験の依頼が増えている。在宅ワークの広がりで、インテリアの買い替え需要が増加したためだ。

 カーテンの遮熱性試験、外から室内を見えにくくする遮像性試験は、部屋に見立てた試験室で行う。「生地の遮熱性だけでなく、実際は窓のガラス越しの影響がある。実際の使用時を想定した試験」が特徴。現実に近いシミュレーションである。

 QTECは2001年から消防法施行規則に基づく「防炎ラベル」の登録確認機関として、カーテンを中心に防炎ラベル表示事業者への確認業務も実施。防炎・難燃カーペット以外でも「ペットブームもあって防汚や消臭機能などがカーペットに求められてきた」

 東部事業所は1年半前から「ユニフォーム総合サービスチーム」を設置した。ユニフォーム分野に特化して、試験だけでなく、企画、デザイン、仕様書作成、工場指導なども支援する。機能性ユニフォームのほか、新型コロナウイルス禍で最近は防護服などの依頼も急増している。

 QTECには縫製工場の技術を評価・認証するQTEC認証工場制度があり、そうした実績・知見を生かして対応する。