合繊メーカー 4~6月期連結/大幅な前年割れに沈む/自動車不振で産資も低調

2020年08月13日 (木曜日)

 合繊メーカーの2020年4~6月期連結決算が出そろった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、赤字転落こそ免れたものの全社が大幅減収となり、ユニチカを除く5社が営業減益を余儀なくされた。7~9月期で市況は底を打つとの見方が強まっているが、業績回復には今しばらくの時間がかかりそうだ。

 東レの繊維事業は新型コロナ禍の影響で本体が27・3%、国内が21・7%、海外が29・6%のいずれも大幅減収となった。炭素繊維複合材料は風力発電や筐体(きょうたい)向けは堅調を維持したものの、航空機向けで苦戦し事業利益がほぼ4分の1に縮小した。

 旭化成は自動車向け製品の販売が伸び悩んだほか、衣料繊維も苦戦を強いられパフォーマンスプロダクツ事業の営業利益が14億円まで縮小した。

 帝人は自動車や航空機向けの苦戦でマテリアル事業が営業損失に転落。一方、新型コロナ禍に伴い医療用ガウンなどの販売が好調に推移したため、繊維・製品事業の営業利益が5倍増となった。

 東洋紡はフィルム事業が23%の増収と好調を維持する一方、モビリティーが赤字に転落。生活・環境では衣料繊維の大幅受注減などが響いた。

 ユニチカは売上総利益率を前年同期の22・7%から32・7%へと10ポイント改善し営業増益を確保。繊維事業の営業損益を前期の赤字(3千万円)から黒字(8200万円)へと浮上させた。

 クラレの20年1~6月期は繊維、トレーディングともに減収だった。繊維はマスク用途など販売が伸びた分野もあったが、繊維資材で自動車生産販売台数減少のあおりを受けた。トレーディングは縫製品販売が堅調に推移し、営業増益を果たした。