帝人/メタ系アラミドは防護衣料に重点/ASEAN地域や中東で

2020年08月24日 (月曜日)

 帝人は、メタ系アラミド繊維の展開で、防護衣料向けを増やす。価格競争が激しい分野への販売を意識的に減らし、機能などが生かせる分野で成長を図る。ASEAN地域や中東の需要を取り込むほか、欧米市場でシェアを高める。訴求力向上の一環として環境対応の取り組みも進める。

 メタ系アラミド繊維「コーネックス」は、長期耐熱性や難燃性といった特徴を持ち、各種フィルターや防護衣料(消防用防火服、工場ユニフォーム)などに使われている。このうちフィルター分野は需要が縮小基調にあり、価格抑制要求も強いことから、防護衣料へのシフトを加速する。

 積極的に進出を狙いたいとしているのが新興国。新工場の立ち上げや安全に対する意識の高まりで大きな市場が形成されるとみる。中でもASEAN地域や化学プラントがある中東に目を向けるが、糸の販売にとどまるのではなく、アパレルメーカーなどとの連携による提案を強化する。

 成熟している欧米市場には強い競合が存在し、どれだけシェアを獲得できるかが課題。一方で新しく生まれる市場では「(顧客は)ゼロベースで採用を検討してくれる。先入観がなく、機能面やスペックで勝負できる。そのような観点でもかなりの伸びが期待できる」と話す。

 差別化や社会的要請への対応としてサーキュラーエコノミー(循環型社会)の追求にも力を入れる。防護衣料は端材の収集・再利用などを進める。「縫製工場・会社と連動すれば端材の収集は比較的容易と言える。いかに用途や商流を作るかになる」とした。