特集 アパレルパーツ(1)/進化するサステイナブル対応/エコ商材の提案が広まる
2020年08月27日 (木曜日)
アパレル業界を取り巻く環境が大きく変化し、副資材もその対応に迫られる。近年はサステイナビリティーの取り組みが求められてきたが、新型コロナウイルス感染拡大で、さらに風潮が高まっていきそうだ。「服作り」の在り方が根本から見直されている中、副資材の供給をいかに持続していくかということも問われている。
〈リサイクルの取り組み拡大/新サービスに着手する例も〉
副資材業界でも、環境配慮型商材の提案が増えている。自然由来の素材を使用したり、環境に負荷をかけない製法を導入したりと、手法の幅も広がった。リサイクルの意識も高まり、再生品の活用や、リサイクルに関わるサービスに着手する企業も少なくない。
環境に配慮した商品開発を進める島田商事は、ナイロン樹脂の再利用に取り組み、シャツ用ボタンに展開している。
清原は、経糸にフィルムくずから生産した再生PETを使用した裏地「エコユース#777W」を幅広いアイテムに向けて提案する
東京吉岡は、使用済みペットボトルをリサイクルした糸で織ったネームを開発した。再生糸を100%使用しているのが特徴。
ミシン糸を製造販売する大貫繊維も、リサイクルポリエステルからフィラメント糸やスパン糸を生み出している。
モリトジャパンは、漁網由来の再生ナイロン樹脂「リアミド」を活用した商品開発に力を注ぎ、新規需要の取り込みにつなげようとしている。
「衣料から紙へ」というリサイクルの普及に乗り出す動きも見られる。
ナクシスは、廃棄される衣類を原料に再利用して製造する独自の混抄紙(こんしょうし)「アールミックスペーパー」を提案する。既に自動車関連メーカーが使用を終えた推奨服(制服)から名刺を作ったという実績もある。
混抄紙とは、パルプに異質な材料を混ぜ合わせてすいた紙を指す。同社は、材料に不要な衣類や生地の裁断くずを再利用し、オリジナルの紙製品の製作を受注する。廃棄物の引き取りから原紙製造までを行う。
ファスナーやボタンを取り外した衣類を、粉砕機で粉状にした上で再生パルプと混ぜ合わせ、機械ですく。すいた紙を乾燥させて巻き取るまでの工程を担う。
受注の際に、仕上がりのイメージを伝えるため、手すきのサンプルを作成する。混抄紙に、消臭や炭化の機能を付加させることもできる。
三景も、廃棄された衣料を粉砕し、古紙と混ぜ合わせて再生紙の製品を作るサービス「クローゼア」を始めている。再生紙はラベルなどの副資材だけでなく、ロゴ入りの袋や箱といった包装品にも活用する。
原紙は、アパレルメーカーから回収した衣料を細かく粉砕し、紙パックなどの古紙に混ぜ合わせて製造する。一つの製品に使用する原料のうち、10~30%を不要になった衣料が占める。
クローゼアで製作した名刺を使用するなど、普及へ向けて実用化を進めている。
副資材で培った技術やノウハウを生かし、新しい領域に踏み出す企業もある。
テンタックは、プラスチックを焼却処分する際にCO2(二酸化炭素)の排出を大幅に抑制する技術「グリーンナノ」を使った製品の提案を強める。ハンガーやフックなどの服飾副資材に加え、レジ袋まで取り扱う製品の範囲を広げる。ごみ袋の販売も始め、多様な業種に向けて提案していく。
グリーンナノは、従来のプラスチック製品の原料に、炭化促進剤をリン脂質の膜で包んだナノベシクルカプセルを含むペレットを少量加える製法をいう。焼却時に炭素が灰に閉じ込められるため、大気中に放出されるCO2を減らせる。
グリーンナノは、東京理科大学発のベンチャー、アクテイブ(千葉県野田市)が開発した。テンタックは、アクテイブとアパレル関連の副資材や包装資材の製造・販売を独占的に扱う契約を結んだ。既に、大手のGMSやSPAに販売しており、ペレットは衣料品の原料として売り出す。
〈デジタル化で業務効率アップ/受発注への導入が拡大〉
アパレル業界のモノ作りが、大量生産・大量消費の時代から大きく変化しようとしている。無駄を省く傾向が強まり、その手段としてデジタル化が急速に広まっている。
副資材のメーカーや商社にとっても、デジタル化は喫緊の課題となり、煩雑さを極めた作業を効率化する動きが活発化してきた。
清原の斧原正明社長は「エコ商材の扱いも大事だが、サステイナビリティーとは、環境保護だけを意味するものではない。持続可能なサプライチェーンの具現化に貢献できるかが問われる」と強調する。同社は今期のテーマに「デジタルシフト」を掲げ、全社を挙げて業務効率化に取り組む方針だ。
フクイは、独自のウェブオーダーシステム「FuKu―KiTaRu」を運営する。アパレルの要望に応じてカスタマイズできる副資材用のオーダーシステムで、多言語表示のタグやRFIDタグのオーダーにも対応する。
ハンガーなどを製造・販売する日本コパックも、商品の受注システムを運用する。利用者は登録したログインIDとパスワードを使って専用サイトにアクセスする。注文の情報はデータ化し、保存して一元管理する仕組み。これまでファクスで受けていた注文をオンラインに切り替えることで、非効率的な商習慣からの脱却を図る。
副資材専門商社のオークラ商事は、自社開発したB2B向け電子商取引(EC)サイト「アパレルX」で成果を上げている。登録者を着実に増やして、ネット受発注の普及に向けて前進している。




