テイジンフロンティア〈タイランド〉/下半期から回復期待も/自動車以外の需要掘り起こし

2020年09月08日 (火曜日)

 新型コロナウイルス禍でタイ経済が大きな打撃を受ける中、帝人フロンティアのタイ子会社であるテイジンフロンティア〈タイランド〉も2020年度上半期(4~9月)は衣料分野、産業資材分野ともに大きな打撃を受けている。下半期(20年10月~21年3月)から緩やかな回復を期待しているが、楽観できない状況が続く。このため自動車以外の需要も掘り起こし、リスク分散を目指す。

 上半期はタイ国内での自動車生産台数が大幅に減少したことを受け、カーシート地やタイヤコードなど自動車関連用途で受注が半減した。衣料用テキスタイルの輸出もアパレルの販売不振から3月末ごろから出荷延期要請が多数寄せられ、取引が停滞するなど新型コロナ禍の影響が深刻だった。ただ、内需向けの寝装関連などは7月から回復傾向。外出自粛による“巣ごもり需要”が影響した可能性がある。

 こうした中、世界的に自動車の生産台数は回復傾向にあることから、業績も下半期から緩やかな回復を期待している。ただ、20年上半期のタイの自動車生産台数は1~3月が約45万台、4~6月が約15万台。年間生産台数が約100万と予想されることから下半期の生産台数は40万台程度にとどまる可能性がある。このため引き続き厳しい状況が予想される。

 衣料用途も世界各国で小売店が一定期間休業した影響は大きく、糸・生地・縫製のサプライチェーンがストップした。各業態とも在庫処分や固定費増加に苦しんでおり、財務体質の弱い企業に対する与信リスクも増大した。北米の大手百貨店が経営破綻することに象徴されるように流通構造の変化も加速した。バーツの為替も対ドルで高止まりしていることも加わり、内需の落ち込みを輸出でカバーするのは容易ではないとみる。

 こうした状況を踏まえ、今期は短期的には固定費や販管費の削減、与信リスク管理を徹底し、新型コロナ禍による打撃を最小化することに取り組む。その上で中期的課題として自動車需要に依存しない用途の開拓に取り組み、需要分散によるリスク分散を目指す。