クラボウGの東南アジア関係会社/開発と新規開拓を重視/新型コロナ禍の影響が継続

2020年09月15日 (火曜日)

 新型コロナウイルス禍によって東南アジア諸国の経済は大きな打撃を受けた。クラボウグループの東南アジア関係会社も受注減少などに見舞われた。こうした状況は2020年いっぱいは続くとみており、現状打開に向けて開発のスピードアップや新規取引先の開拓などに重点的に取り組んでいる。

 タイは新型コロナの新規感染者数こそ低水準に抑え込まれているが、繊維産業への打撃は大きく、内需、輸出ともに需要が減退した。紡織のタイ・クラボウは4月以降、特に欧米と日本向けのカジュアル用途の受注が大幅に減少した。染色加工のタイ・テキスタイル・ディベロップメント&フィニッシング(TTDF)も日本向け、その他海外向け、タイ国内向けともに受注が減少。このため両社とも現在の稼働率は80%程度にとどまる。

 こうした状況を打開するため両社は紡績・織布・染色加工までの一貫生産を生かした開発のスピードアップと新規取引先の開拓、新規分野への参入に重点的に取り組む。コストダウンや短納期への対応力向上にも地道に取り組む。

 一方、インドネシアは東南アジア諸国の中でも新型コロナ感染者数の増加が続き、行動制限も継続されていることが経済に打撃となる。紡織のクマテックスは生機販売への影響は軽微で織機の稼働率もほぼ100%を維持しているが、原糸の受注が落ち込み、紡績の稼働率は80%程度にとどまる。ここに来て輸出は徐々に復調傾向だが内需は停滞が続いているため織布は計画を維持し、紡績は下半期(7~12月)からの回復を見込む。

 クラボウインターナショナルのインドネシア縫製子会社であるアクラベニタマは4~6月に受注減少から時短操業を実施したが、現在は通常の操業に戻った。ただ、当局による新型コロナ対策の大規模社会制限の影響で協力工場への訪問などが停滞し、工場管理や納期対応に苦慮した。

 今後は協力工場と連携しながら品質対応や納期対応力の強化に取り組み、クラボウインターナショナルとも連携して取引先の要望に応えることで現状に打開を目指す。