豊島/未開拓市場へ拡販進める/独自開発素材・商材の拡充も

2020年09月16日 (水曜日)

 豊島は今期(2021年6月期)の課題として(1)独自開発素材の拡充(2)未開拓市場への販路拡大(3)OEM・ODMにおける新しい付加価値提案(4)別業態・異業種への販売促進――に取り組む。単体で売上高1700億円(前期比15・2%減)、経常利益40億円(47・3%減)を見込む。

 豊島半七社長は「ライフスタイル商社として次に向けた足掛かりを着実に固める」と述べた。課題に取り組みながら引き続き安定的・持続的な収益体制確立に力を入れる考えを示した。

 繊維素材部門は独自に開発した素材の拡充とさらなる拡販を目指す。国内外の未開拓市場への販路拡大も継続して行う。繊維製品部門はDX(デジタルトランスフォーメーション)やCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル・ファンド)の活用を進める。OEM/ODM企業として顧客に新たな付加価値の提供を行い、別業態や異業種商圏への拡販を加速する。

 さらにサステイナビリティーをモノ作りの基本とした商材開発やライフスタイル商材の提供を強化する。SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け新しい消費社会の実現への貢献を目指す。

〈微減収も過去最高益を計上〉

 豊島の2020年6月期単体決算は売上高2007億円(前期比5・4%減)、営業利益61億3600万円(98・3%増)、経常利益76億3300万円(76・1%増)、純損失は7億6500万円(前期は純利益32億8300万円)だった。

 微減収となったものの営業・経常ともに過去最高を更新した。純損失は在庫の評価損といった特別損失によるもの。

 部門別売上高は、綿花が世界的な需要の減速による取り扱い減少と米中貿易摩擦の長期化による相場下落で減収。原糸は合繊・長繊維の三国間および輸出が増えたものの羊毛価格の大きな下落が影響し国内販売の減少を補えず減収だった。生機・加工織物は中東向けの三国間貿易を拡大したが主力の切り売りやユニフォーム向けの国内販売不振に加え相場による価格競争もあり減収となった。

 これにより繊維素材部門全体では減収だったが、海外取引の拡大が寄与し増益を確保した。

 繊維製品部門はアパレルが苦戦を余儀なくされたが医療関連商材の提案が奏功した。加えて異業種の販売増と新業態の取り組み深耕が増収に貢献。利益面では生産国の納期管理徹底や輸入商品集約化による物流費軽減が増益に寄与した。