UTCとデュポンG/植物由来原料で「パルパー」/世界初の複重層紡績糸を開発

2020年09月25日 (金曜日)

 ユニチカトレーディング(UTC)とデュポングループはこのほど部分植物由来原料ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)ポリマー「ソロナ」による短繊維を採用した複重層紡績糸「パルパー・メード・ウィズ・ソロナポリマー」を開発した。ソロナを採用した複重層紡績糸は世界初となる。

 パルパー・メード・ウィズ・ソロナポリマーは、芯に米国のデュポンバイオマテリアルが製造し、デュポン・スペシャルティ・プロダクツ(東京都千代田区)が販売する部分植物由来原料PTT樹脂「ソロナ」の短繊維を採用した。ソロナは樹脂だと原料の37%、通常のポリエステルと複合したサイドバイサイド繊維にした場合は18%が植物由来となる。これをUTC独自の複重層紡績技術「パルパー製法」で鞘に綿やリヨセル、ウールなどを配した複重層紡績糸とすることに成功した。

 ソロナとパルパーを融合させることで環境配慮と同時に適度なハリコシ感、ソフトな肌触り、PTTによるストレッチ性を実現しており、通常のポリエステルを使ったパルパーと比較してもイージーケア性や吸水速乾性、抗ピリング性が向上している。

 こうした特徴を生かし、スポーツやアウトドア、ユニフォーム、ファッションなど衣料用途や生活雑貨、資材など幅広い用途に提案する。11月からUTCが糸、生地、OEM・ODM製品で販売を開始し、売上高は初年度3億円、3年後20億円を計画する。一部製品は自社ECサイトでも販売する。

 UTCとデュポングループは共に環境負荷低減やSDGs(持続可能な開発目標)に向けた取り組みを進めており、両社の技術を融合させることでサステイナブルで快適な社会を実現することを目的に今回の開発に取り組んだ。今後、国際展示会などでも両社による共同プロモーションなどに取り組む。