クラボウと伊藤忠/連携で持続可能な社会実現/タイ・クラボウに資本参加

2020年09月30日 (水曜日)

 クラボウの繊維事業部と伊藤忠商事の繊維カンパニーはこのほど、戦略的パートナーシップに関する契約を結んだ。両社が連携して環境に配慮した商品の開発と販売に向けて、新たなビジネスモデル創出に取り組む。そのため伊藤忠商事がクラボウのタイ子会社、タイ・クラボウに資本参加する。繊維業界全体でサステイナブルな社会の実現を目指す組織「アパレルサステイナブルコンソーシアム(仮称)」を設立する。

 今回の提携により、伊藤忠はクラボウが保有するタイ・クラボウの株式の一部を購入する形で資本参加する。今後、伊藤忠が扱うオーガニックコットンや環境配慮型素材プロジェクト「レニュー」の再生ポリエステル、フィンランドの紙パルプメーカーのメッツァファイバー社と共同開発した環境配慮型セルロース繊維「メッツァ・リヨセル(仮称)」などを活用したグローバルな開発と販売に取り組む。

 これらサステイナブル原料にクラボウが持つ繊維アップサイクル技術「ループラス」や原綿改質技術「ネイテック」、サステイナブルインサレーション「エアーフレイク」など独自の紡績・テキスタイル技術を組み合わせ、新たな商品開発やビジネスモデル創出に取り組む。

 一方、サステイナブルな社会の実現は企業単独では難しいことから、業界全体での取り組みを推進するアパレルサステイナブルコンソーシアムを設立する。両社が事務局を担い、取り組みに賛同する川上から川下まで各専門分野の企業や団体を中心としたパートナー企業・団体を募る。

 コンソーシアム参加企業・団体が連携し、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の仕組み作りや新技術の創出、新しいビジネスモデルの構築、エシカル(倫理的な)消費の促進などに取り組む。今年度内に具体的な構想をまとめ、早期の設立を目指す。伊藤忠の繊維カンパニー傘下のアパレルなどにも積極的に参加を呼び掛ける。

 クラボウの中川眞豪執行役員繊維事業部事業推進部長は「当社は1993年から“ヒューマン・フレンドリー発想”の下、サステイナブル素材・製品の開発・提案に取り組んできた。同じくサステイナブルな原料を中心に製品までのバリューチェーンを強化している伊藤忠商事と考えが一致し、今回の提携につながった」と話す。

 伊藤忠繊維カンパニーの大室良磨ファッションアパレル部門ファッションアパレル第三部長も「サステイナブル原料を扱う上で、当社は川中が力不足。国内だけでなくタイ、インドネシア、ベトナムなどに拠点を持ち、高い技術力を持つクラボウと組むことで、高付加価値な糸・生地の開発ができる」と、今後の取り組みに期待を寄せる。