開発力や技術を新分野に展開/事業領域を広げる副資材企業

2020年10月05日 (月曜日)

 アパレル業界を取り巻く環境が激しく変化し、服飾副資材のメーカーも、新しい成長戦略を描く必要に迫られている。多様化するアパレルからの要求に対応しながら、新しい分野に活路を見いだす企業も現れ始めた。これまで培った開発・製造ノウハウや技術を活用し、事業領域を広げたケースもある。(強田裕史)

 テンタック(東京都新宿区)は、織りネームやタグ、RFID(無線通信による商品の個別管理システム)を主力とする大手製造卸。2020年から、プラスチックを焼却処分する際に、二酸化炭素の排出を大幅に抑える技術「グリーンナノ」を使った製品の提案に力を注ぐ。

 グリーンナノは、従来のプラスチック製品の原料に、炭化促進剤をリン脂質の膜で包んだナノベシクルカプセルを含むペレットを少量加える製法。東京理科大学発のベンチャー、アクテイブ(千葉県野田市)が開発した。テンタックはアクテイブと、服飾副資材や包装資材の製造・販売を手掛ける契約を結んでいる。

 両社はグリーンナノをフィルムに添加する製法を共同開発し、テンタックがこのフィルムを使って包装資材を製造している。同社が中国・青島とタイ・チョンブリ県で操業する工場が、フィルムへの印刷と製袋までの工程を担う。

 包装資材は、大手のGMSやSPAを中心に販路を開拓した。環境配慮型のプラスチック製品として需要が増え、マスクのケースなど包装に関わる用途も広まった。

 テンタックは、グリーンナノ加工のもとになるペレットも販売しており、衣料製品や副資材に採用されている。グリーンナノ事業はアパレルからも新しい需要を掘り起こす。

 芯地などを製造する東海サーモ(岐阜県大垣市)は、独自に開発した熱可塑性接着シート「フューゼック」の用途拡大を目指す。自動車の内装材に採用された実績があり、今後はサポーターなどの健康関連製品や家具に向けても提案を進める。

 フューゼックは2種類以上の生地を接着させる役割を果たす。綿やポリエステルの布帛に不織布を張り合わせるなど、素材を選ばずに使用できるのが特徴。複数の素材を組み合わせることで、新しい機能や価値を持たせることができるという。

 生地の間に挟み込み、適切な温度、プレス、時間を加えることで接着が完了する。スプレーで溶剤を吹き付けるような手法と異なり、作業時に有毒ガスを発生させないため、人や環境に優しい。

 接着芯の製造技術から生まれた製品であり、同社が大垣市内で操業する西大垣工場で生産している。服飾副資材から産業資材へと事業領域を広げるきっかけを作った製品だが、生活に関わる分野でも需要獲得を狙う。