三陽商会/在庫圧縮、ローコスト化急ぐ/来年2月までに160店舗閉鎖

2020年10月08日 (木曜日)

 三陽商会は6日、下半期(2020年9月~21年2月度)の重点課題として在庫圧縮と販管費の削減に取り組むと発表した。同社の大江伸治社長は「来期の営業黒字化に向けて重要な基礎固め」と話し、今期中に約160店舗を閉鎖する考えも明らかにした。新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、社内の抜本改革を急ぐ。

 在庫商品は8月末時点で123億円に拡大したものの、来年2月末で「100億円に圧縮する」と言う。在庫圧縮に加え、20億円規模の来春夏プロパー商品の仕入れを実施、さらに総消化率の改善を目指す。店頭や電子商取引(EC)、新規出店したアウトレット店などを通じ、前期繰り越し在庫、今春夏の未消化在庫の消化を進める。

 これまで同社の建値消化率は45%程度で、総消化率は70%前後で推移していた。大江社長は「建値消化率55%、総消化率85%に高める」と自信を見せる。コスト意識が欠落していた商品企画を改め、20秋冬は調達原価率を約2¥文字(G0-AC9E)削減し、定番商品の強化とMDの集約にも着手した。

 既に宣伝販促費の効率化、店舗撤退による販売費の削減が進み、販管費は15億円の削減となる見込み。不採算店舗の撤退やローコスト化を進める一方、成長戦略の軸となるブランド構築については「第2フェーズで成長戦略を打ち出す。企業の再建と成長の同時進行はできない」と話した。

〈営業損失57億円/3~8月期〉

 三陽商会の20年3~8月期連結決算は、売上高153億円、営業損失57億1200万円、経常損失57億3800万円、純損失66億4800万円となった。20年2月期は14カ月の変則決算のため比較値は公表していない。

 3~5月度の売上高は前期比62%減、6~8月度は21%減まで回復したが、百貨店と都市型商業施設の臨時休業、消費者の外出自粛などが響いた。春夏在庫処理のためセール販売を拡大し、売上総利益率は低下した。

 強化しているECは23%増と好調で、集客プロモーションや在庫商品の販促が奏功した。人件費の抑制、賃借料の減額交渉などを実施したものの、営業損失は拡大。さらに臨時休業中における従業員給与や賃料の固定費として特別損失13億円を計上した。

 未定だった21年2月期の業績予想は、売上高380億円、営業損失85億円、経常損失96億円、純損失35億円とした。構造改革を進める中で、大江社長は「来期の営業黒字化は必達」としている。