クラボウ/ユニフォーム素材展in大阪/10月28日から30日まで/次世代商品を多彩に披露

2020年10月21日 (水曜日)

 クラボウの繊維事業部は10月28日から同30日までの3日間、同社大阪本社ビル(大阪市中央区)で「2020クラボウユニフォーム素材展in大阪」を開催する。「プロテクト」をテーマに、作業従事者や環境などを“守る”ための素材を、今回展で初披露する新素材を含め約50素材を紹介する。

〈IEC対応制電素材が登場〉

 今回の展示会で特に注目の新素材が電気・電子技術分野の国際規格であるIEC規格に対応した高制電素材「エレアース」。生地の表裏に高性能な制電糸を格子状に配置するなどの工夫を施すことで、静電気放電から電子デバイスを保護するためのワークウエア等の国際規格「IEC61340―5―1」の基準に対応する素材。「エレアース」を使用したワークウエア(ブルゾン・パンツ)が日本電子部品信頼性センター(RCJ)において、資材登録された。

 これまで合繊100%のIEC規格対応素材は存在したが、ポリエステル綿混素材としては国内の繊維業界初となる。また、ポリエステル綿混素材のため、綿由来の優れた吸水性と優しい肌触りがあり、着心地の良いワークウエア用の素材として活用できる。

 近年、さまざまな分野の製造業で電子デバイスを取り扱う頻度は高まっており、電子デバイスの最大の弱点である静電気放電対策のワークウエア素材のニーズは高い。

 さらにクラボウではIEC規格対応素材の普及に向けて販売担当者6人、技術者1人がRCJのESDコーディネータ資格を取得し、取引先などへ静電気放電対策などの情報提供や企画提案ができる体制を整えた。

 そのほか新素材としてポリエステル綿混のストレッチ素材「ウルトラツイル」、耐摩耗の綿素材「タフコットン」、高通気素材「ドットクール」を展示する。

 ウルトラツイルはポリウレタン非使用で優れたストレッチ性を実現。洗濯耐久性も高い。近年、ますます要望が高まるストレッチ素材の新提案となる。タフコットンは摩耗(スレ)や引き裂きに強く、繰り返し洗濯によるダメージも軽減する。ユニフォームに求められる最も基本的な機能を追求した。ドットクールは特殊な織構造によって通気性を高めたもの。軽量素材でもあり、速乾性やイージーケア性にも優れる。熱中症対策なども含めて高通気素材の役割は大きい。

〈注目高まる抗ウイルス機能〉

 展示会でもう一つ注目を集めそうなのが抗菌・抗ウイルス機能繊維加工技術「クレンゼ」。新型コロナウイルス禍を契機に引き合いが急増している。これまで多くの細菌やインフルエンザウイルスなどに対する機能を確認しているが、このほど新型コロナウイルス(SARS―CoV―2)に対する効果も確認できた。

 さまざまなアイテムに応用可能なクレンゼだが、展示会では用途例として医療機関や介護現場向けに繰り返し洗濯して使用できるクレンゼ防護ガウンも披露する。医療用ガウンに求められる防水性の基準である米国医療機器振興協会(AAMI)基準のレベル1にも対応。洗濯耐久性も高く、家庭洗濯50回後も抗菌性・抗ウイルス性やAAMIレベル1の防水性を保持できる。ポリエステル綿混素材のため、優しい風合いとガウン内に熱がこもりにくい特長もある。

〈安全、清潔、環境も重点テーマ〉

 作業従事者の安全を守る素材として防炎素材「ブレバノ」も提案する。“新スタイル”の防炎素材として、「バンジーテック」のストレッチ性や「風織」の高通気性、先述の「クレンゼ」の抗菌・抗ウイルス性を付与したタイプも用意し、安全性と快適性を両立したユニフォーム素材を提案する。

 清潔では、“業界最高水準”の防汚性が特長の防汚素材「ソイルスウィープ」、繊維評価技術協議会が認証する「SEK消臭加工マーク」も取得した消臭素材「ストロングデオ」も注目の機能素材だ。

 近年、ユニフォーム分野でもサステイナビリティーやSDGs(持続可能な開発目標)へのコミットメントが一段と不可欠になった。こうした流れを受け、再生ポリエステル素材「アフターペット」も改めて打ち出しを強化する。

 新型コロナウイルス禍を契機に、労働環境も大きく変化せざるを得ない。だが、作業従事者の安全を守るというユニフォームの役割は不変であり、新たなリスクの登場によって、その意義は一段と大きくなる。そうした社会的要請に応える新たなテクノロジーを盛り込んだユニフォーム素材を今回の展示会を通じて幅広く提案する。

〈繊維事業部ユニフォーム部長兼東京ユニフォーム部長 三和 二郎 氏/ユニフォーム本来の役割を提案〉

 新型コロナウイルス禍の下、作業従事者や環境を守ることの重要性が一段と増してきています。ユニフォームの本来の役割はウイズコロナ時代において、さらに大きくなるはずです。

 そこで今回の展示会では、「プロテクト」をテーマに掲げ、作業従事者や環境を守るための新しい発想やテクノロジーを活用・創出した素材を提案します。

 新型コロナ禍によって、従来のように対面で商品提案できる機会が減ってきています。だからこそ今回は、直接商品に触れながら提案できる場をあえて提供させていただくことにいたしました。

 会場は、十分な感染対策を行いますので、安心して商品を見てもらえると考えています。お客さまに次世代を担う商品をしっかりとご理解いただき、当社商品の普及に取り組みたいと思います。(談)