帝人 繊維・製品事業/今期は利益150億円に/ガウン需要一巡で課題も

2020年11月05日 (木曜日)

 帝人の繊維・製品事業の利益が大きく伸びている。医療従事者向け医療用防護具(ガウンなど)の供給が寄与し、2021年3月期の連結営業利益は150億円の見通し。20年3月期の約2・8倍に達する。ただ医療用防護具の供給は一巡しつつあり、継続成長には課題を残す。

 繊維・製品事業の20年4~9月期連結業績は、売上高で前年同期比2・5%増、営業利益は4・5倍の126億円に達した。新型コロナウイルス禍で需要が急増した医療用防護具の早期大量供給が奏功したほか、水処理膜向けのポリエステル短繊維の販売も好調に推移した。

 126億円の営業利益のうち、約3分の2はガウンなどが貢献した。合計で1億枚(4~6月で1200万枚、6~9月で8800万枚)を納めたが、ほとんどが厚生労働省向け。しかしながらガウンの逼迫(ひっぱく)感はなくなり、現状では下半期(10月~21年3月)以降、大きな需要はないと予想する。

 このため下半期の営業利益見込みは、前年同期の実績と比べて11・6%減の23億円。4~9月に苦戦した自動車関連部材は持ち直しが期待できるものの、生地販売や重衣料向けなどで新型コロナ禍の影響などが残るとみている。オンライン展示会の開催や経費削減で収益を下支えする。

 販売面では上半期に好調だった水処理膜向けのポリエステル短繊維の継続強化やインフラ関連の展開強化に力を入れる。衣料品分野ではスポーツ、カジュアル関連が収益の柱になるとしている。新常態(ニューノーマル)のニーズを把握しながら事業を進める。