4~9月期決算

2020年11月10日 (火曜日)

〈炭素繊維複合材料事業は赤字に/東レ〉

 東レの2020年4~9月期連結決算(IFRS)は、売上収益8560億円(前年同期比19・2%減)、事業利益340億円(52・3%減)、税引き前利益84億3900万円(88・5%減)、純利益44億6600万円(91・2%減)で減収減益だった。新型コロナウイルス禍が多くの事業に打撃を与えた。

 繊維事業は売上収益3302億円(21・8%減)、事業利益158億円(50・0%減)。衣料用途は販売店舗の閉鎖で需要が減退し、産業用途も自動車関連用途などで販売数量を落とした。医療用白衣地やマスク用途で不織布需要は増加したが、全体の減少を補えなかった。

 炭素繊維複合材料事業は売上収益893億円(25・5%減)、事業損失2億8200万円(前年同期117億円の利益)。風力発電翼用途が堅調だったが、航空宇宙用途で民間旅客機のビルドレート減少の影響を受けた。

 通期の業績予想は売上収益1兆8600億円、事業利益800億円、純利益340億円。

〈衣料素材、アパレルなど苦戦/東レインターナショナル〉

 東レインターナショナルの2020年4~9月期決算(単体)は売上高2337億円(前年同期比23・6%減)、営業利益50億7100万円(18・4%減)、経常利益64億8100万円(23・9%減)、純利益47億5700万円(34・2%減)で減収減益だった。

 衣料素材は売上高231億円で30・8%減。衣料用ファイバーが低調に推移したほか、テキスタイルも欧米向け輸出を中心に苦戦。インテリア分野は堅調だった。繊維資材・物資は自動車用途を中心に低調で32・6%減の186億円だった。

 アパレルは18・0%減の744億円。大手SPA向けが受注減となったほか、スポーツ、アウトドア、カジュアルの各分野でも顧客販売不振の影響を受けた。

 通期の業績見通しは、売上高5054億円、営業利益97億円、経常利益121億円、純利益89億円。

〈自動車、衣料向け厳しく/旭化成〉

 旭化成の2020年4~9月期連結決算は、売上高9893億円(前年同期比7・4%減)、営業利益767億円(24・5%減)、経常利益774億円(26・4%減)、純利益467億円(39・9%減)だった。マテリアル事業を中心に新型コロナウイルス禍が響いた。

 マテリアルは石化製品市況の悪化や自動車関連市場の需要が減退した。この中で繊維事業は、キュプラ繊維「ベンベルグ」が大きな影響を受け、インドの民族衣装用途などが落ち込んだ。一方で不織布はガウンやマスク用途が順調に推移した。

 通期の業績予想は売上高2兆340億円、営業利益1400億円、経常利益1420億円、純利益870億円。

〈生活・環境セグメント苦戦/東洋紡〉

 東洋紡の2020年4~9月期連結決算は、売上高1575億円(前年同期比4・5%減)、営業利益104億円(6・2%減)、経常利益58億6200万円(34・6%減)、純利益26億4200万円(0・8%減)で減収減益。フィルム・機能マテリアルセグメントで数字を伸ばしたが、繊維を含む生活・環境セグメントなどが苦戦した。

 生活・環境セグメントは売上高501億円(21・4%減)、営業利益17億7100万円(26・8%減)。繊維機能材事業では機能性クッション材「ブレスエアー」が寝装用途を中心に堅調。衣料繊維事業は店頭販売不振などが響き苦戦した。

 通期の業績予想は、売上高3300億円、営業利益200億円、経常利益140億円、純利益70億円。

〈純利益は大幅増に/日東紡〉

 日東紡の2020年4~9月期連結決算は、売上高382億円(前年同期比10・5%減)、営業利益29億400万円(14・4%減)、経常利益28億1800万円(16・9%減)、純利益87億8800万円(325・5%増)だった。株式の売却益を計上したことなどから純利益は大きく伸びた。

 繊維事業は売上高10億6600万円(46・9%減)、営業損失4億1900万円(前年同期は1億1500万円の損失)。芯地は新型コロナウイルス禍で大手アパレル向けの販売が落ち込んだ。一方で、一般消費者向けの製品(布巾)が巣ごもり需要で伸びた。

 通期の業績見通しは、売上高800億円、営業利益55億円、経常利益54億円、純利益100億円。

〈新型コロナ禍で大幅減収減益/クラボウ〉

 クラボウの2020年4~9月期連結決算は売上高561億円(前年同期比20・8%減)、営業利益5億6300万円(66・0%減)、経常利益10憶900万円(59・0%減)、純利益4億7400万円(78・7%減)だった。新型コロナウイルス禍の影響で大幅な減収減益となった。

 繊維事業は売上高197億円(24・1%減)、営業損失11億7千万円(前年同期は10億3400万円の損失)だった。原糸とカジュアルは新型コロナ禍による取引先の店舗休業や消費低迷の影響を受けたことで減収となった。

 ユニフォームも新型コロナ禍のため建設業や製造業向けのユニフォームの販売が振るわず減収だった。海外子会社も新型コロナ禍で受注が減少し、減収となった。一方、抗菌・抗ウイルス機能素材の販売は好調だった。

 通期は連結売上高1280億円(10・4%減)、営業利益30億円(33・9%減)、経常利益36億円(34・4%減)、純利益20億円(46・4%減)を見込む。