東洋紡/下半期から両繊維を反転/衣料繊維 通期黒字に

2020年11月11日 (水曜日)

 東洋紡は繊維事業が含まれるモビリティ部門、生活・環境部門の業績を2020年度上半期を底に反転させる。両事業の上半期業績(売上高・営業損益)はモビリティが150億円・13億円の損失、生活・環境が502億円・18億円の利益。これを下半期には200億円・6億円の損失、588億円・41億円の利益へと引き上げる。

 20年度4~9月期は両部門で苦戦を強いられ、モビリティでは主力のエアバッグが30%の減収にとどまったため、営業損失が前年同期の4億円から13億円に拡大した。

 生活・環境では、衣料繊維事業が苦戦を強いられており、東洋紡STCは30%の減収にとどまった。グループ会社にマスク販売での特需が発生したものの、全社業績をカバーするには至らず、若干の赤字を計上したという。

 自動車関連の顧客情報を総合すると、自動車業界が回復するのは当初の想定よりも早まり22年ごろからとの見方が強まっているという。

 同社はインドラマとの合弁でタイに設立したナイロン66の新工場を22年春に立ち上げる。敦賀事業所第2よりも低コストで高品質な糸を生産。エアバッグ基布におけるグローバルなシェアを「30%に引き上げるための拠点として活用する」(楢原誠慈社長)方針を掲げる。

 衣料繊維事業では、苦戦を続けるエクスラン(アクリル)事業が主戦場とする中国市場の回復を見込んでいるほか、アクリレート繊維への転換で引き続きてこ入れを進める。

 中東輸出では、ここに来て加工指図が入り始めたため下半期はフル操業に戻せるとみており、20年度は通期で黒字浮上を目指す。

 主力のフィルム・機能マテリアルでは、通期でも増収増益を計画。「高機能品、環境対応品を伸ばす」とし、リサイクル原料も「作るところから関与していきたい」と意欲を示している。