帝人フロンティア/「デルタntr」開発/ランダムな凹凸で深色性

2020年12月04日 (金曜日)

 帝人フロンティアは22春夏スポーツ素材で、「クールシェル」「汗対応」「防水・防風」「ストレッチ」を軸に快適素材の提案を強める。さまざまな素材で軽量化やハイゲージ化などの改良を図るとともに、新商品として「デルタntr」を投入する。

 高バランス素材「デルタ」の新商品として「デルタntr」を開発した。仮撚、混繊技術を駆使してランダムなマイクロクリンプ構造を実現し(1)ソフトで膨らみのある風合い(2)ナチュラルなスパン調質感(3)ランダムな微細凹凸構造による深色性――などの特徴を持たせている。糸はポリエステル再生糸で、66デシテックス(T)×108フィラメント(F)、122T×96Fの2種をそろえる。

 デルタからの置き換えを含め、2年後に50万メートル、5年後に150万~200万メートルの販売を計画する。デルタは天然繊維調で綿のスエットなどの分野を狙ってきたことで、現在は50%がカチオン杢(もく)になっている。通常のデルタは表面がフラットで色が出にくい面があったが、「デルタntr」で要望に応える。

 その他の素材でも改良を進めており、透湿防水素材「エコストーム」は、ポリエステルフィルムを従来品比5マイクロメートル薄い10マイクロメートルとし、撥水(はっすい)ストレッチ織物「レクタスST」は糸の細さを従来の4分の3にして軽量化した。

 市場に動きが出ているジョギングやサイクリングなどへの提案も強める考えで、涼感素材などを打ち出す。ヨガなど室内ウエアにも注力し、汗染み防止の撥水ポリエステル糸「カラット」や、保温と汗処理を両立した「サーモフライ」などを提案していく。

〈テイジン・アラミド/バイオ由来の「トワロン」/生産技術を開発〉

 オランダのテイジン・アラミドはこのほどパートナー企業との共同でバイオ由来原料を使用したパラ系アラミド繊維「トワロン」の生産技術を開発した。

 トワロンは軽量で強度、耐久性に優れているため、自動車、航空用コンテナ、防護服といった幅広い用途で使用されており、グローバル市場において確固たる地位を確保する一方、石油由来の原料から生産されており、バイオ由来原料による生産技術はこれまで存在しなかった。

 このため、同社は持続可能な社会の実現に貢献するため、環境に配慮した原料による生産を目指し、ベンゼン、トルエン、キシレンといったBTX(芳香族炭化水素)製品を製造するオランダのバイオBTX社、シンコム社とともに2018年からバイオ由来原料によるトワロンの生産技術確立について検討を重ねてきた。

 このほど、使用済みの植物油脂由来の成分を使用し原料の92%がバイオ由来であるトワロンのパイロット生産に成功したという。

 石油由来原料による従来のトワロンが持つ軽量、高強度などの特性を保有しており、製造プロセスにおけるCO2排出量を従来に比べ大幅に削減できることも確認したという。

 これを受けて同社はこのバイオ由来原料を使用するトワロンの本格生産に向け「今後、さらに技術開発を推進していく」としている。