東レ スポーツ・衣料資材事業部/植物由来ナイロン提案強化/サステ重視の中で存在示す

2020年12月07日 (月曜日)

 東レのスポーツ・衣料資材事業部は、植物由来原料を使った合成繊維の提案を強める。サステイナビリティー重視の流れの中で再生糸使いが標準化しつつあり、バイオマス比率の高い繊維を前面に打ち出して存在感を示す。植物由来比率60%のナイロン610が中心になるが、早い段階で完全植物由来化を目指す。

 植物由来ポリマー素材・製品では「エコディア」を展開し、植物由来ポリエステル「エコディアPET」(植物由来比率は約30%)やナイロン610の「エコディアN610」(同約60%)などをそろえる。訴求に力を入れるエコディアN610は21秋冬物から販売に乗り出している。

 トウゴマ(非可食植物)から採取したひまし油を用いて生産されたセバシン酸をヘキサメチレンジアミンと重合・紡糸する。寸法安定性に優れているほか、細繊度の糸や異形断面糸も製造できると言う。染色性なども問題はない。ダウンジャケットやアウター用途を中心に訴求を図っている。

 今後の課題は完全植物由来の開発だが、大塚潤部長は「現在の原料では困難なことが分かっている。新しい原料を見つける必要がある」とした。完全植物由来はエコディアPETでも実現に取り組む。植物由来原料を使った繊維の「公の認証はなく、世界で通用する認証ができるようさまざまな働き掛けを行いたい」と話した。

 2022年のスポーツウエア市場に向けてはエコディアシリーズのほか、従来の汗染み防止機能とはまったく異なる濡れ色抑制機能(汗染みが目立たなくなる)を持つ「フィールドセンサーEX」、防虫機能生地「ウィズリリーフ」などを打ち出す。再生繊維はさまざまな糸・生地で活用している。

 これらは開催中の「2022スポーツメッセージ」ウェブ展示会や大阪で開く完全アポイント制の個別商談会(東京では1~4日に実施)で見ることができる。