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特集 スクールスポーツウエア(2)/スクールスポーツ事業インタビュー/21年入学商戦に向けて

2020年12月07日 (月曜日)

〈菅公学生服 開発本部 学生工学研究所 スポーツ開発課長 佐藤 範和 氏/「カンコープレミアム」筆頭に/商品の〝けん引力〟が奏功〉

  ――2020年7月期のスポーツ部門の売上高は2年連続で100億円を超えました。

 商品の“けん引力”が奏功した結果だと思います。単一の商品だけでなく、高校向け「カンコープレミアム」をはじめ全体の商品構成を連動させる形で提案したことが良かったと思います。

 販売開始から20年になる「リーボック」に加え、「アディダス」「カンコー×ファイテン」などライセンスブランドも貢献し、カンコープレミアムで今春投入した防透性に優れるシャツ「ミエンヌエアー」など先鋭的な商品を多くそろえたことがシェア拡大につながったと思います。

  ――来入学商戦に向けては。

 全体的には販売計画通りに推移していて、首都圏など大都市圏を中心に採用を得ています。地方でも堅調に実績を上げていて、商品差別化による販売単価の向上なども寄与しています。長年同じ制服を採用している既存校へのモデルチェンジの提案なども進めています。

 17年発表のカンコープレミアムは19年、20年入学商戦とも60校の採用を獲得しましたが、来春の新規採用も堅調に推移しています。大手素材メーカーと開発した生地「グランガード」の防風性能、軽さや薄さ、シンプルかつ先鋭的なデザインで支持されていて、累計採用校数は来春で200校弱を見込んでいます。

 ミエンヌエアーを同ブランドのラインアップに加えたことで、ウオームアップウエア、ハーフパンツ、シャツと一貫した訴求ができるようになり、提案の幅が広がりました。20年度グッドデザイン賞のベスト100などに選ばれた「ミエンヌ」の改良版で、防風性能やUVカット機能に加え、より軽量で清涼感のある点が評価を得ています。

  ――新型コロナウイルス対策関連は。

 洗濯しやすい体育着での通学が許可されるケースが増えていますので、イージーケア性の開発を強めています。耐久性の面も含めた開発、商品構成の充実に向けて仕込みをしている段階です。

  ――一昨年発表の小中学校向け「カンコーノームコア」は。

 シンプルなデザインや、マークを後付けできる2次加工マーキングシステムなどで評価され、新規採用の実績ができています。スタイル、素材、マークと3ステップによる受注形式を採用するなど今までにない商材ですので、提案の質の向上に努力したいと思います。

〈初のオンライン展示会/学校との接点作りへ〉

 菅公学生服は11月16~20日、初のオンライン展示会「カンコーソリューションフォースチューデンツ~変換点~」を開催した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、学校関係者向けのリアルの展示会をネットに切り替えた。商品や取り組みの紹介だけでなく営業の接点作りを図っており、「反響を分析して営業強化につなげる」考えだ。

《四つの〝変換点〟がテーマ》

 オンライン展示会では「着る人の声」「学校」「価値観」「生活」の四つの“変換点”をテーマに専用サイト上にブースを設置。それぞれ動画や資料を掲載し、商品や取り組みを訴求した。

 商品紹介は、「着る人の声」ブースの360度ファッションショーで主に実施。女子中高生で構成される「カンコー委員会」のメンバーが同社の制服や体操服を着用し、360度カメラで撮影した自撮り風の動画や座談会の様子を公開した。

 自社ブランドに加え、ライセンスブランドも「リーボック」や「カンコー×ファイテン」など近年の主力商品を着用。メンバーが全員同じものを着るなどして集団美で商品を紹介するとともに、リアルな着用感や学生服を着ることの楽しさが伝わるショーに仕上げた。

 今後、こうした「着る人の声」をモノ作りや提案に活用する。

《地域探求学習への対応を》

 教育ソリューション事業を展開していることから、教育に関する内容も充実させた。「学校」のブースでは、昨年設立した教育分野のカンコーマナボネクト(岡山市)と連携し、地域と高校の連携を考える地域探求学習の発表会をライブ配信した。

 今年7月に文部科学省が「普通科再編」案を示し、「地域探求学科」の創設を提起したことを受けた。SDGs(持続可能な開発目標)や性的少数者(LGBTQ)への対応など社会的課題に向けた意見を、参加した生徒同士が共有した。

 同ブースでは併せて、スマートフォンの撮影で身体サイズを計測できる非接触の「スマート採寸」システムも紹介。今後はネットでリピートの注文を受けるなどシステム連携も視野に入れる。

 「価値感」ではSDGsへの考察や、LGBTQの人々に対する医療現場からのメッセージなどを公開。「生活」では、体育着の防風性能の実験動画などを掲載した。

〈トンボ 執行役員 営業統括本部 スポーツMD本部長 河本 光正 氏/昇華転写で部活着も採用拡大/ピストレなど素材開発を強化〉

  ――来入学商戦に向けた商況は。

 現時点(11月上旬)で採用校数は自社ブランド「ビクトリー」が60校、「ヨネックス」ブランドが20校となっています。前年同期に比べ3割増のペースで採用を獲得していますね。

 ただ、年度後半は新型コロナウイルスの影響が強まるとみていて、楽観視はしていません。新規獲得のペースは減速し、来春の結果は前年並みとなる200校前後を想定しています。ヨネックスは、累計採用校数が1200校弱まで増えると思います。

  ――昇華転写プリントが採用拡大に貢献していますね。

 昇華転写は引き続き新規採用の6割を占め、堅調に推移しています。「ビクトリー」ではウオームアップウエア「ピストレ」にも昇華転写を施していますが、同商品の軽さや防風性能などでも安定した評価を得て、学販だけでなくバレーやサッカーなど部活動向けの引き合いが増えています。

  ――今後の新たな取り組みは。

 ピストレに活用している独自開発の軽量ポリエステルニット「ピステックス」で、素材開発を強化します。撥水(はっすい)、裏起毛、制電、寒冷地向け肉厚起毛のタイプに、軽量性と吸汗速乾性能を高めたピステックス・ドライを昨年加えて5種類で訴求してきましたが、来期に向けても新たな素材の追加を考えています。

 熱中症対策関連で、半袖Tシャツ向けの吸汗速乾素材の開発を強めています。従来の素材に比べ、熱を発散する力を飛躍的に高めた素材を検討しています。

  ――設備増強は。

 2018年に開所した縫製のトンボ倉吉工房スポーツ館(鳥取県倉吉市)は、初年度に計画した3ラインで年間4万点の生産量を維持していて、順調に稼働しています。今年は1ラインを増設する計画でしたが、新型コロナ禍で延期を決めました。しばらく様子を見ながら計画の再開を判断します。

  ――21年6月期の部門売上高は58億円(前期比2・7%増)の計画です。

 上半期は計画通りに推移しましたが、下半期にかけては新型コロナ禍で授業や行事が中止となり、買い控えが広がる恐れがあります。これまで以上に不透明な環境となることも視野に、対応を検討します。

〈明石スクールユニフォームカンパニー 営業本部 スクールスポーツ部長 前田 健太郎 氏/「アスリッシュ」本格化/抗ウイルス加工を拡充〉

  ――来入学商戦に向けた動きは。

 今入学商戦から販売を本格化させた自社ブランド「アスリッシュ」の引き合いが順調に増えています。昨年と同じくマンモス校の私学に採用されたことも大きいです。「アスレチック」「スタイリッシュ」を組み合わせた今までにないテイストで、認知度も着実に向上していますね。

 新型コロナウイルスの影響で体育着の通学を許可する学校が増えているため、あらゆる着用シーンにおいても違和感がないベーシックなデザインが評価につながっています。

 「デサント」ブランドも100校前後の新規採用を見込んでいて、累計採用校数は2千校が視野に入っています。デサントのモノ作りの指針となる『機能性の探究がデザインになる』原点に立ち返り、今まで以上に着用感と機能美にこだわった高品質な体育着を打ち出します。持続可能なモノ作りのために適地生産にも取り組んでいきます。

  ――新たな商品企画は。

 抗ウイルス対策商品として空気触媒加工「ティオティオプレミアム」を施した体育着の販促を強めます。制服でもウイルス対策の商品に注目が集まっていますので、併せてスポーツでも拡販します。

 来年の当社の企業指針であるSDGs(持続可能な開発目標)に向けた取り組みで「環境」「命」「絆」を守る活動を進めますが、「命」の項目で熱中症対策の商品開発に努めます。吸放湿・吸汗速乾素材「モイステックス・クリーン」使いのウエアや、水を掛けると涼しさが増す冷感素材使いの「冷キャップ」などを訴求します。

  ――今後の見通しは。

 体育着での通学許可などもあって、直近数カ月の販売は順調に推移しています。ただ、市場環境自体は新型コロナ禍で引き続き厳しい状況にあるので、学校とのコンタクトを綿密に行うなど“ディフェンス”を強化します。ティオティオや熱中症対策のラインアップなど、今後ニーズが高まる分野の営業活動にも努めます。

〈瀧本 執行役員 企画開発本部長 寺前 弘敏 氏/新機能と新デザインが好評/ノンシャカ、杢グレーなど〉

  ――7月に2021年入学商戦向けの新商品を出しました。

 今期(21年6月期)を「スポーツ元年」と位置付け、自社ブランド「タイガースポーツ」とライセンスブランド「ロット」で新商品を発表しました。

  ――スポーツ元年の意味は。

 当社のスクールスポーツ事業は売り上げ全体の1割と、同業他社に比べて低い。この比率を高めていく方針を掲げ、仕切り直しの意味を込めて「元年」としました。新商品発表はその一環です。

  ――新商品の特徴を。

 両ブランドともテーマを「ファンスポ」としています。タイガースポーツでは、「ファンクション(機能)とスポーツの融合」という意味を込めています。防風、軽量、コンパクトといった機能を持ちながら、着用時のシャカシャカ音を大幅に軽減する生地を採用し、「ノンシャカ」と命名しました。

 ロットでは、「ファン(楽しみ)とスポーツの融合」を志向しました。業界では珍しい杢(もく)グレーの編み地を採用し、スタイリッシュに仕上げています。

  ――反響はいかがですか。

 ノンシャカ、杢グレーともに想定通り高い評価を頂けました。成約も幾つかあります。ただ、発売時期が7月と遅かったことに加え、販促用サンプルなども不十分でした。もっと早めに投入していればと思いますが、致し方ありません。次の入学商戦は準備を万全に進め、本格販売に臨みます。

 第1弾の好評を受け、タイガースポーツは防透けや消臭などの機能を「ノン」シリーズとして加えます。ロットも杢のカラー展開を増やすなどデザインバリエーションを拡大します。

  ――新型コロナウイルス禍の影響は。

 採寸がどのような形で実施されるのかが気掛かりです。デジタル採寸を使わずとも、サイズを送ってもらい、商品代引で発送するなど3密を避ける方法はいろいろありますが、実際には着用していないわけで、ブレが生じることは考えられます。その分、メーカーとしては備蓄を多めに持っておく必要があります。難しい局面ですが、今年に関しては致し方ないと考えています。

〈ギャレックス スクール営業グループ マネージャー 田中 誠一郎 氏/7月以降は堅調な推移/体操服通学奨励が追い風〉

  ――2020年6月期を振り返ってください。

 新型コロナウイルス禍の影響で第4四半期の売り上げが落ち込みました。体育祭や修学旅行などのイベントが休止されて4~6月の在校生による追加が激減し、夏場の水着の販売も同様に大きく減りました。その結果、売上高は前期比約1割減の43億円になりました。

  ――各ブランドの売れ行きはいかがですか。

 「フィラ」は新規を50校ほど獲得し、累計で1320校になりました。「スポルディング」は15校増えて累計105校です。「ギャレックス」は150校ほどで、20年入学商戦は計220校の新規獲得でした(水着含む)。

  ――21年入学商戦の進捗(しんちょく)はいかがですか。

 7月以降は前期終盤の低迷の反動もあり堅調な推移です。前年同月を上回る月が続いています。ただ、MC獲得校数で言えば、現時点で110校ほどと低調です。新型コロナウイルス禍で新規商談が進んでいないことが原因です。

 新型コロナによるプラスの影響もあります。体操服での通学を奨励する地域が増えたことです。学校制服に比べて洗濯、乾燥が簡単なのが体操服ですから、清潔意識の高まりを享受できた格好です。特に当社では東海地区や関東地区でその傾向が顕著です。

 前期末に苦戦を強いられた水着ですが、販売後の返品に例年悩まされるのですが、今期は販売自体が極端に少なかったため、自然に返品も少なかった。これも今期の増収傾向の要因の一つです。

  ――21年入学は新商品の投入を見送りました。22年入学に向けては。

 今のところ、3ブランドいずれも新商品を投入する計画です。新型コロナ禍でやや遅れ気味ではありますが、それぞれ商品企画を進めています。清潔、防臭、ストレッチなどの機能がキーワードになってくると思います。

  ――新型コロナ禍はまだ続きそうです。

 感染拡大防止のため、学校訪問・販売店訪問もできるだけ自粛している状況で電話やメールでのこまめなやりとりをしていくしかありません。これから受け渡しの時期になりますので、採寸時に密にならないようより工夫が必要になってくると思います。

〈ユニチカメイト 社長 清水 義博 氏/カスタマイズ対応強化/上半期はコロナ禍で微減収〉

  ――今上半期(2020年4~9月)を振り返ってください。

 前年同期比微減収減益です。6~9月は前年同月を上回る売り上げでしたが、4、5月が新型コロナウイルス禍の影響で落ち込みました。休校措置の中、在校生からの追加オーダーが激減したことや、水着需要が消えてしまったこと、この時期の体育祭、修学旅行などのイベントが軒並み中止になったことが要因です。

 6月以降は反動もあって盛り返しましたが、4、5月の落ち込みをカバーするにはわずかに至りませんでした。6月以降の反動には、洗濯、乾燥がすぐにできて清潔を保てるよう学校が通学時の体操服着用を奨励したことも追い風になりました。

 ユニフォームOEM事業も接客サービスや交通機関系が苦戦して減収でした。

  ――通期の見通しは。

 このままの推移になると思います。学販は採寸をどうするのかの結論がまだ出ていませんのでそこは不透明ですが、前年並みになると見ています。利益面は、縫製工賃などのコストアップもありましたが、利益率自体は前年並みです。出張費などの一般管理費が抑制できたことで計画比では上振れする見込みです。

  ――ライセンスブランド「プーマ」の状況は。

 21年入学商戦で累計200校を目指していましたが、170校ぐらいにとどまりそうです。引き合いは依然として強いのですが、新型コロナ禍でモデルチェンジ(MC)時期を延期する学校が増えたことが響きました。新規校獲得のためのブランドという位置付けですから、MC延期の影響は受けてしまいます。

  ――自社ブランド「ユームーヴ」は。

 こちらは堅調で、微増です。MC校数の少なさが逆に追い風になったと言えます。特にシャツが好調でした。

  ――今後の方針を。

 カスタマイズ対応を強化します。中高一貫校が増えており、その場合は単純計算でカラー展開はこれまでの3色から6色になります。備蓄の在り方、作り方を見極めながら最適解を探ります。

 素材開発もユニチカグループの一員として引き続き強化します。供給責任を果たすためにも機能加工品の海外生産にもトライしていきます。

〈ミズノ/昇華柄・スリムシルエット打ち出す〉

 ミズノは、2020年度(2021年3月期)は新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校の影響で20年3月の売り上げが大幅減となり、学校が再開された後、そのマイナス分を計上することができたという。

 例年ならば3月に合格発表を行う学校が多い。例えば、15日発表の場合、その日の午後に生徒にジャージー上下を試着してもらい全員分のサイズを把握。その後、生徒の氏名や校章を入れ、4月2日に納品するという極めてタイトなスケジュールが待っている。

 ところが、20年の入学商戦では新型コロナ禍に伴い納品が分散化する傾向が高かったという。同シーズンでは、昇華プリント柄の採用やスリムなシルエットがトレンドとして注目された。

 21年商戦に向けては、昇華柄やホワイト生地に防汚加工を施したウオームアップを新たにラインアップ。感染対策を実施しながら採寸システム、集計システムの運用を開始している。

 同社は私立、公立の高校をメインのターゲットに位置付けており、引き続き昇華柄の採用やスリムなシルエットを求めるトレンドが継続すると見通している。

〈トンボ デザインコンクール/ネットで受賞者を発表〉

 トンボは11月29日、第11回「トンボ1129デザインコンクール」の受賞者を専用サイトで発表した。応募総数は前回より1753点多い1万6627点。体育着デザイン部門には911点の応募があり、最優秀賞に松山市立湯山中学校3年の上甲真緒さんが選ばれた。

 同コンクールは、「いい服の日」と「11月29日」の語呂合わせで制定。2007年からブランディング活動として進めるもので、当初は制服のコンクールが中心だった。体育着は2018年からで、19年から制服と体育着合わせての実施となった。

 例年は表彰式とファッションショーを開催していたが、今年は新型コロナウイルス禍でネットでの発表に変更。体育着はデザイン部門、アイデア部門、プリント部門体育着の部・部活動の部で最優秀賞、優秀賞を選定した。

 デザイン部門最優秀賞に輝いた上甲さんの作品のタイトルは「その一瞬にかける 疾風迅雷」。着脱可能なフードとマスクが特徴的で、膝部分のゴムで立ち座りがしやすい作品となっている。