東洋紡STC/綿の提案強化でサステ対応/国内外の企業との連携も

2020年12月11日 (金曜日)

 東洋紡STCは、綿の訴求を強める。合繊のリサイクルに加え、綿を積極的に用いることでサステイナビリティーを求める声に応える。原綿改質による機能付与で優位性を出すが、インドの紡績会社との連携で製造コストを抑える。日清紡テキスタイルとの取り組みも始動する。

 サステイナビリティーへの対応では、再生ポリエステルを使用した生地「エコールクラブ」などを展開している。エコールクラブ使用製品などのエネルギーリカバリーを行う繊維製品回収システムも持つが、これまで以上に環境配慮への要求が高まる中、綿素材の提案に重心を移す。

 原綿改質によって差別化を図る。機能わたシリーズでは、汗臭に対する消臭やpHコントロール機能を持つ「デオドラン―C」、通常の綿よりも水分率を高めることでしなやかな風合いを付与した「うるおいコット」、吸湿発熱性が持続する「ホットナチュレネオ」などを用意する。

 二十数年間にわたって取引があるインド最大級の紡績会社との連携を深める方針で、技術供与を行い、現地で原綿改質と紡績を一貫で手掛ける。これによってコストが20%強抑制できるという。既に一部の機能わたの生産は始めており、今後消臭や抗菌などにも広げていく。

 原綿改質では抗菌防臭の「エービーコット」を22春夏物で新たに打ち出す(日本で生産)。大腸菌や黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、モラクセラ菌をはじめとする幅広い細菌の増殖を抑える効果を確認済みで、洗濯耐久性も兼ね備える。一部のカビ菌にも効果を持ち、多用途で展開する。

 日清紡テキスタイルとの取り組みでは未晒しのスパンレース不織布(SL)を作る。東洋紡STCが不純物をある程度取り除いたわたを供給し、日清紡テキスタイルがSLを製造。漂白剤不使用のため環境負荷低減につながる。製品には綿の自然な色味が残り、「ウエットティッシュは白色という常識を覆す」と話す。