環境効率・安全性を向上/帝人

2020年12月15日 (火曜日)

 帝人は電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)に求められるバッテリーの環境効率や安全性の向上に貢献することを目指したマルチマテリアルによるコンポジット製バッテリーボックスをこのほど開発した。

 EVなどに搭載されるバッテリーには容量の拡大に加え、サイズの拡大、安定した蓄電能力、軽量化、衝突時の安全性の向上が必須になっている。

 従来のバッテリーボックスは主に鉄やアルミなどの金属を使用することで強度や剛性を担保しているが、これらは軽さや耐火性、耐熱性、複雑な車両レイアウトに適応する形状自由度などにおいて課題があったという。

 帝人グループはかねて独自の高機能素材、成形技術などを駆使して自動車部品の開発・設計に取り組んでおり、このほどマルチマテリアルによるバッテリーボックスを開発した。今回、開発したのは、複合材料(FRP)と金属材料を最適条件で組み合わせ設計したもの。顧客のニーズに合わせ、FRPには炭素繊維やガラス繊維を使うことができる。

 FRPをプレス成型することでバッテリーボックスを形成するトレーやカバーなどの複雑な形状を一体成形できるため、容易にシール性を確保して安全性を担保できるほか製造コストの最適化も実現できる。アルミ製の従来品と同等の軽量化を実現したほか、耐火性、寸法安定性、耐腐食性にも優れ、FRP製のトレーやカバーには電磁波シールド性を持たせることもできる。

 マルチマテリアルによる部品供給メーカーとしてソリューション提案力を強化し、2030年ごろに自動車向け複合材料製品事業を年商2千億円規模に引き上げる。