LIVING-BIZ vol.65(4)/特集 安全安心・信頼の追求/存在感・役割高まる検査機関

2020年12月16日 (水曜日)

 気候の変化や清潔・衛生意識の高まりなどを背景に、寝具寝装品やインテリアファブリック製品の機能が進化する中、検査機関の存在感・役割がますます高まっている。さまざまに工夫される素材や加工の品質、形状などを客観的な立場で試験・評価し、消費者に安全安心と信頼を提供する。

〈カケン/コロナで試験依頼に変化/寝装・インテリア業界をサポート〉

 カケンテストセンター(カケン)は、寝装・インテリア関連の生地および製品試験でも強みを発揮する。耐光/洗濯/摩擦堅ろう度をはじめ、カーテン類では遮光性や遮熱性、床敷物類では接触角測定や帯電性、寝装・カバー類では防ダニ性や羽毛試験、保温性、接触冷感性、組成混合率、軟質および低反発ウレタンフォーム試験など幅広く対応する。

 首都圏における寝装・インテリア関連の試験依頼を一手に引き受けているのが東京事業所の堀留ラボ。今年は新型コロナウイルス禍の影響で依頼されるアイテムに変化が見られると言う。

 一般的な掛け/敷ふとんの試験依頼がやや減少傾向を見せる半面、クッションやヨガマット、バランスボールカバーなどの試験依頼が増えている。保温性とデザイン性を備えたルームソックスの依頼も多い。

 背景には巣ごもり需要の増加があるようだ。市場では、在宅ワークの広がりに伴う椅子の座り心地を高めるクッション、長引く外出自粛生活の中で健康を保つためのフィットネス用品などが売れ筋となっている。

 バランスボールカバーはストレッチ性の高い生地で、シンプルな無地から多彩なプリント、動物の顔をデザインしたものなど種類も豊富になってきた。ヨガマットはポリ塩化ビニールや熱可塑性エラストマー、ゴム(天然・合成)製などがあるが、ウオッシャブル性や抗菌性の試験依頼も出てきた。

 カケン全体では、清潔・衛生志向の高まりを受け、抗菌防臭や消臭、抗ウイルス性試験の問い合わせ・依頼が急増。7月以降、プラスチック樹脂メーカーや家電メーカー、塗料メーカーなど異業種からの依頼も増える。樹脂や金属など、以前から繊維以外にも対応してきた実績が生きる。

 寝具製造卸も企画・生産するようになったマスクでは、日本産業規格(JIS)化の動きが出てきた。カケンもこの標準化の活動に積極的に協力する。

〈QTEC/国内有数の羽毛試験体制/清浄度1500ミリまで測定〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、羽毛試験において国内有数の技術・処理能力を誇る。日本羽毛製品協同組合(日羽協)、IDFB(国際羽毛協会)、EDFA(欧州羽毛協会)、DIN―CERITCO認証といった国内外の団体の認定を取得しており、IDFL(国際羽毛研究所)とも業務提携している。

 羽毛トレーサビリティーシステム「ダウンパス」では日本唯一の監査機関を務め、その実績から日本寝具寝装品協会(JBA)のトレーサビリティー監査システム「J―TAS羽毛産地認証」制度の国内監査も担う。

 試験を実施しているのが名古屋試験センター。羽毛品質に関する通常の試験はもちろん、粘着性の高い薬剤で羽毛にファイバーやほこりなどを付着させダウンに見せかける“グルーダウン”の鑑別試験対応など、日羽協の技術委員会とともに品質偽装羽毛の撲滅にも力を注ぐ。

 衛生意識の高まりを受け、最近は清浄度(羽毛を洗浄した際の水の透明度)試験の依頼が増えているという。国産羽毛ふとんの清浄度は、日羽協「ゴールドラベル」の基準(500ミリ以上/千ミリ以上)が一般的だが、千ミリ超のメーカー自主基準を設ける動きが盛んになってきた。そこでQTECは、市販の500ミリと千ミリの透視度計に加え、特注で1500ミリの透視度計を用意。国内検査機関で唯一、1500ミリまで測定できる体制を整える。

 生地担当のアパレルチームには、側生地の抗菌性や抗ウイルス性といった機能試験依頼も増えている。

 日羽協が準備を進めている羽毛試験方法のJIS改定作業にも協力。より厳格な組成混合率試験、かさ高性試験の確立によって、今後も消費者に安全安心な羽毛製品を提供するモノ作りをサポートしていく。