山陽染工/独自加工生かした製品事業拡大へ/近隣企業と連携したモノ作りも視野に

2021年01月13日 (水曜日)

 染色加工の山陽染工(広島県福山市)は、本業の加工を生かした製品事業を強化している。昨年10月には同市内に近隣企業が展開する商品を集めたショップもオープン。企業と連携したモノ作りも視野に入れる。

 同社は、2018年からクラウドファンディング(CF)などを活用しながら、自社製品ブランド「バッセンワークス」の開発と販売に力を入れてきた。同ブランドは、部分的に色の抜け具合を変えることで濃淡を表現する独自技術の段落ち抜染を生かした製品が特徴。これまでCFに出品したスニーカーやデニムジャケットなどは、いずれも目標金額を達成するなど好評だ。

 今後も、コンスタントに商品開発を行うとともに、「自社通販サイトの魅力を上げる」(戸板一平取締役)ことでネットでの販売も強化する。

 昨年10月には天満屋福山店内に、福山市近隣のモノ作り企業のブランド商品を集めたセレクトショップ「フクヤマモノショップ」をオープン。「企業からの出店オファーはずっと増えている」(戸板取締役)と言い、現在は25社ほどの商品を取り扱う。

 新型コロナウイルス感染拡大第3波の影響で来客数が伸び悩むが、今月14~17日に同店内で「和」をモチーフに、着物や和雑貨などを販売する催しを計画するなど、新しい仕掛けを打ち出しながら売り上げにつなげる。「同業、異業種含め、これまで接点のなかった事業者とのつながりも増えた」として、連携した商品開発も見据える。

〈海外販路 開拓にも注力〉

 山陽染工の本業の加工量は、昨年11月ごろに回復の兆しが見え始めたものの、新型コロナの感染再拡大などの影響で減少傾向にある。ただ、切り売り向けの加工がマスク需要などを取り込んで一部堅調なほか、低迷するカジュアル向けでも、製造工程で水や薬剤などを抑えたサステイナブル加工は引き合いが増えている。

 近年力を入れていた海外販路開拓は引き続き注力。2019年からイタリア・ミラノで開かれるテキスタイル展示会「ミラノ・ウニカ」に出展するなど、海外へのアプローチを進めてきた。現在は展示会の開催が困難な状況だが、オンラインカタログやメールなど、デジタルを駆使しながら提案を行う。

 サステイナブル加工に加えて、インディゴプリントと顔料プリントの組み合わせなど、独自加工の提案も強化。緯糸にケブラーを採用したケブラーデニムなど、特徴のある素材とのセットで訴求を強める。