クローズアップ/東レ テキスタイル事業部門長 佐々木 康次 氏/海外連動で高付加価値品拡販

2021年01月20日 (水曜日)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で苦戦を強いられる合繊メーカーの衣料繊維事業。収束が見えない中、各社は業績反転に向けた取り組みを急ぐ。この間、高付加価値品の拡販で安定的な業績を確保してきた東レのテキスタイル事業。昨年11月1日付で就任した佐々木康次部門長にアフターコロナをにらんだ戦略を聞いた。

  ――2020年度も残すところ2か月少々です。

 今年度は新型コロナ禍で非常に厳しい1年を強いられました。ユニフォームは企業別注にブレーキがかかりましたが、学生衣料や病院白衣が堅調でした。苦しかったのは婦人・紳士服地やスポーツの輸出と、裏地です。裏地は市場そのものが半分に縮小したとみています。

  ――新型コロナ禍に伴う特需は。

 使い切りの介護衣「リブモア」シリーズが各方面から引き合いを集め、20年度は大幅増販になりそうです。21年度も大きく伸ばしていきます。

  ――21年度の課題は。

 中期課題の2年目を迎えます。定量的には、20年度に掲げた予算をクリアすべく、さまざまな手を打っていきます。苦戦の度合いが高かったスポーツや婦人・紳士を回復させなければなりません。輸出の方で商売が動き始めたスポーツに期待しています。新型コロナ変異種の影響が気になりますが、欧州連合(EU)域の状況を注視しながら拡販を目指していきます。

  ――海外拠点とはどう連動する。

 当社は中国や東南アジア、EU域に幾つもの海外拠点を展開していますから、これらを活用したさまざまなオペレーションを考えています。お客さまからは最近、地産地消をよく言われます。縫製工場に近いロケーションで生地を作ってくれというニーズがますます強くなってきました。このような要望に対して何ができるのかを考えていかなければなりません。

  ――傘下の3事業部間のシナジーを重視してきた。

 お客さまや用途の垣根が低くなっていますから、3事業部で情報を共有し、得意な素材を持ち寄って販促をかけていきます。婦人・紳士部隊が、ユニフォームで取引のあった大手SPAとの商流を新たに開拓しました。

  ――展示会の開催を見送ってきた。

 リアル展は21年度の下半期からになるでしょう。しかし、ウェブ展も継続します。世界を相手に時差も関係なく24時間体制で開催できるメリットは大きいと思います。当面はウェブ展とともにアポイント制の小規模内見会を同時開催するスタイルになるでしょう。