ユニチカトレーディング/21年度下半期から反転/ミャンマー事務所を開設

2021年02月01日 (月曜日)

 ユニチカトレーディングは2021年度、この間、取り組んできたエコ素材のバリエーション拡充、新事業開発室の設立、電子商取引(EC)ビジネスへの参入、アセアン開発センターの開設といった布石の刈り取りに重点化し、21年度下半期からの業績回復を目指す。

 20年度上半期、同社は政府からの要請に基づき医療用ガウン700万着を供給した取り組みが業績に貢献し、売り上げでほぼ前年並み、営業利益で大幅増益を達成した。

 それ以外の衣料繊維事業では軒並み苦戦を強いられており、新型コロナウイルス禍の影響から脱して巡航速度に戻せるのは「早くても21年度下半期から」(渡辺巧衣料繊維事業本部長)と見通している。

 この間、PLA繊維「テラマック」に続くエコ素材として再生ポリエステル「エコフレンドリー」、植物由来ナイロン「キャストロン」、バイオポリエステルと綿との複重層糸「パルパーソロナ」をラインアップしてきた。

 エコフレンドリーでは、東京ソワールにエコ化した婦人服地「ノイエ」が採用されたほか、瀧定名古屋とのコラボレーションを強化しており、新型コロナ禍の影響を受けてはいるものの、着実な市場浸透に期待する。

 キャストロンは市場では珍しい植物由来のナイロンとして引き合いを集めており、21秋冬からスポーツ素材として打ち出す。

 新事業開発室はECビジネスの立ち上げやデュポングループと取り組んだパルパーソロナの共同開発などに深く関わっており、昨年4月の設立以降、「営業との連動で相乗効果が出始めた」という。

 ECビジネスでは、第1弾のマスクに続き第2弾の植物由来の毛布をクラウドファンディングを通じ投入。これらを通じ同社に寄せられた消費者からの意見、要望を今後の開発、販促に反映させ、EC拡大に取り組む。

 「四半期に一つのペースで新商品をラインアップしたい」との意欲を示しており近々、第3弾の新商品を発売する。

 新型コロナ禍に伴う移動制限でアセアン開発センターの始動が遅れていたものの、早いタイミングで2人目の技術者を派遣し、既に技術者を派遣している中国、インドネシアとの連携を通じ、現地ニーズにマッチした新商品開発を急ぐ。

 新型コロナ禍でミャンマー事務所の開設にも遅れを来しているものの、「21年度上半期中に現地での活動を立ち上げたい」としている。

 21年度前半は新型コロナ禍の影響が残るとみているが、これらの布石の刈り取りを強化し、下半期から「業績を回復基調へと転換させたい」考えだ。