東レ ファイバー事業/プロジェクトIを推進/製品・TXでの販売に踏み込む

2021年02月05日 (金曜日)

 東レのファイバー・産業資材部門は下半期(2020年10月~21年3月)から“プロジェクトI(イノベーション)”をスタートさせた。ファイバー事業では、糸やわたの売りっ放しではなく「次工程をコントロールしながら商品開発、商流開拓を進める」取り組みを強化し、新規アイテム・販路を掘り起こす。

 新型コロナウイルス禍の影響で大きく縮小した国内ミル消費を回復させるため、下半期からプロジェクトIに着手し、顧客から先の段階で停滞するサプライチェーンへのテコ入れを図る。

 短繊維事業では、アクリル「トレロン」で製品販売をにらんだ取り組みを促進。靴下や着圧ソックス、マフラーのようなアイテムで製品ビジネスを組み立てていくための顧客へのアプローチに乗り出した。

 不織布でも「一歩、前に出るための取り組み」を進めている。環境エネルギー開発センターに構えるスパンレースの試験設備を活用し、主に衛生材料向けの原反開発を強化していく。除菌シートや化粧パフ向けの原反で既存顧客とバッティングしない販路の開拓を目指す。

 長繊維事業では、白度やトレーサビリティーにこだわって開発したペット再生ポリエステル「&+(アンドプラス)」による開発、企画提案を重点的に進めている。

 既存素材からエコ素材への切り替えを検討する顧客に海外生産もリンクさせたアンドプラスによる提案に取り組み、テキスタイルや高次加工品での販売につなげたい考えだ。

 あるアイテムに関わる生産チームを東レが主導する形でまとめ、ここでの企画を東レが直接、顧客にプレゼンする取り組みを数件、進めており、まずアンドプラスで新規商流の具体化を目指していく。