オーミケンシとダイワボウレーヨン/ジャパン・レーヨンを守る/製造・販売連携で海外市場も

2021年02月18日 (木曜日)

 オーミケンシとダイワボウレーヨンはこのほど、レーヨン短繊維の製造・販売で連携する。オーミケンシのレーヨン短繊維をダイワボウレーヨンが受託生産するほか、中国市場でオーミケンシの中国子会社がダイワボウレーヨンの商品の販売も担う。取り組みの第1弾として国際生地展示会「インターテキスタイル上海」に共同出展する。日本のレーヨンメーカー2社が団結し“ジャパン・レーヨン”の灯を守ることを目指す。

 日本ではこれまでこの2社がレーヨン短繊維を生産していたが、2020年9月にオーミケンシがレーヨン短繊維やレーヨン紡績糸の自社生産から撤退した。これに対して一部の需要家からは、他社品での代替が不可能な機能レーヨンを中心に引き続き供給を求める声が寄せられていた。

 こうした声に応えるためオーミケンシは機能レーヨンをダイワボウレーヨンで委託生産し、原綿、不織布、紡績糸、テキスタイルの販売を一部継続することを決めた。オーミケンシの髙口彰専務環境素材事業本部長は「自社生産からは撤退したが、『地球環境に優しい商品を提供する』というセルロース事業の目標は変わらない。そのためにも機能レーヨンの技術を残す必要がある」と話す。

 一方、ダイワボウレーヨンの福嶋一成社長も「機能レーヨンの開発で2社は世界をリードしてきた。その一つが失われるのは惜しい。連携して“ジャパン・レーヨンの灯を守る”という考えで意見が一致した」と話す。オーミケンシと連携することで生産受託による工場稼働率向上が期待できるほか、オーミケンシの中国子会社である近絹〈上海〉商貿がダイワボウレーヨンの商品も販売することで中国市場での販売網拡充も可能になる。

 今後は両社で原綿の共同開発にも取り組む。オーミケンシがダイワボウレーヨンの原綿を活用して不織布や紡績糸、テキスタイルを開発するといった取り組みも進める。

 3月には中国・上海で開催されるインターテキスタイル上海に両社で共同出展し“ジャパン・クオリティー”による機能レーヨンやレーヨンのサステイナビリティーを前面に打ち出す。