東洋紡STC/自社の強みに磨きかける/好調「Zシャツ」さらに拡販

2021年03月05日 (金曜日)

 東洋紡STCは新型コロナウイルス禍に伴う苦戦を踏まえ自社の強みに位置付けるユニフォームやスクール、ニットシャツ地などにヒト・モノ・カネを重点的に配分し競争力強化に取り組む。長く低迷するエクスラン(アクリル)事業ではこのほど減損処理を実施。「2021年度で何とか採算ラインに乗せたい」(田保高幸社長)考えだ。

 20年4~9月期単体決算は売上高350億円(前年同期比17・7%減)、営業利益1億7700万円(65・5%減)、経常損失6200万円(前年同期は5億6800万円の利益)となった。

 新型コロナ禍で中東輸出を除く全事業で苦戦を強いられたが、その後のてこ入れを通じ下半期は黒字浮上を計画。インナー以外を「何とか浮上させられそう」と見通す。

 このほど事業運営におけるメリハリを付けていくための組織再編を決め、4月1日から繊維事業総括部をこれまでの4事業部からスポーツ、マテリアル(インナーや糸売り)、輸出織物、ユニフォーム、スクールの5事業部体制に組み替える。

 強みに位置付けるユニフォーム、スクール、輸出織物に人員も手厚く配置しており、3事業を中心にコロナ後を見据えた拡大戦略を推進。輸出織物には下半期に入って中東からの加工指図が相次ぎ、庄川工場(富山県射水市)をほぼフル操業状態に回復させている。今後もトップゾーンにおけるシェア維持を目指した開発、販促に取り組む。

 スポーツでは、シャツ向けの高機能ニットシャツ地「Zシャツ」や「Eシャツ」の販売が好調を続けており、20年度は50%以上の増販を達成できるとしている。巣ごもり需要などへも販路が広がっているため、21年度は20年度以上の伸び率を見込んでいる。

 マットレス向けの販売が好調なクッション材「ブレスエアー」では今年の夏から2系列目を稼働させる。テレビショッピングなどで「絶好調を続けている」と言い、今後は海外を中心にオートバイのシートなどで新規需要を掘り起こす。

 新型コロナ禍に伴い販売が急増している抗ウイルス素材「ナノバリアー」や「ヴァイアブロック」でも販促を強化し、ユニフォームやメディカル用途への浸透を目指す。

 エクスラン事業では、中国のアンチダンピングのその後などを注視しながら、販売が順調なアクリレート繊維で引き続き拡大戦略を続行する。